トランプ前大統領の政策が世界恐慌を招く危険性について、通貨発行益を「債務」とする誤った会計処理の問題点を軸に、アメリカと日本の経済戦略の本質を議論しました。
◉ 世界恐慌を招く危うい思考──トランプ政策の誤解
今回の対談では、東郷潤先生と共に、アメリカの財政赤字や関税政策が世界経済に及ぼす影響について深く掘り下げました。とりわけ、トランプ前大統領の「赤字は悪」「貿易黒字が善」という単純化された理解が、実は基軸通貨ドルの本質を見誤ったものであることに焦点を当てています。
ドルは世界の貿易基軸通貨であり、各国の貿易準備通貨でもあります。つまり世界の貿易の決済資金の供給源はアメリカの「貿易赤字」に依拠します。つまり、ドルが世界に流通しているのは、アメリカが赤字を出し続けてくれているからであって、これをトランプ氏が止めてしまえば、立場の弱い新興国から貿易が止まり、世界の金融が止まり、それはやがて世界恐慌へと発展しかねない危険なものとなります。
◉ 通貨発行益の会計処理が世界を狂わせる
問題の核心にあるのは、通貨発行益(シニョレッジ)を「債務」として処理していることにあります。中央銀行がこの会計処理をしているのは、英国、米国、日本ですが、これらの国の中央銀行は、紙幣を発行する際に、それを会計上「負債」として計上しています。つまり、紙幣を発行すればするほど赤字が膨らむという構造になっています。
これは紙幣が(金と交換できる)兌換紙幣だった時代の仕組みの名残りであり、すでに前時代の産物となっているものです。現代の中央銀行は、通貨を金と交換しません。ということは、発行通貨は本来、「収益」として計上すべきものです。この会計制度の誤りが、財政均衡論(プライマリーバランス)を正当化し、30年に及ぶ日本のデフレや、アメリカの赤字体質への過剰反応を引き起こす、根本原因です。
通貨発行益を正しく処理すれば、財政赤字は実質的に解消可能であり、健全な経済拡大も望めるのです。
◉ 世界を救う“静かな革命”──草の根からの発信
この問題の深刻さに気づいた東郷先生は、AI「グロック」を活用しながら、アメリカに向けて発信を開始。トランプ氏やイーロン・マスク氏を含む約300人にポストを送り、さらにX(旧Twitter)広告を使って全米に向けて情報を拡散しています。
この草の根の取り組みは、日本から世界を救うための静かな革命ともいえる行動です。「お金が世界を動かしているなら、その仕組みを正せば、戦争も貧困も防げる」──その信念のもと、東郷先生は日々行動を重ねています。
最後には、「日本こそが先にこの成功例を示すべきだった」という悔しさと共に、民間の知と行動の重要性が語られました。
【ノート】
これまでの世界は、世界を動かす一部の支配層が、メディア等をコントロールして自分たちだけの利益を図るという、ヒエラルキー社会でした。いま6千年続いたといわれるこうしたヒエラルキー社会が崩壊しようとしています。
これからやってくる社会は、球体構造社会。
つまり、世界中の誰もが、たったひとりで世界の仕組みを変え得る、そういう社会です。
その「名も無いたったひとりが世界を変えること」この中央銀行の会計処理の問題と、世界の貿易基軸通貨としてのドルの立場の確認という意見は、これからの世界を激変させるインパクトを持つものです。
おもしろい展開になってきました!
