本動画では、心の中にある“凍った時間”としてのトラウマを、追体験によって溶かし、癒す方法を東郷潤氏が解説します。怒りや悲しみを抑圧せず、想像の中で思い切り表現することで、過去を乗り越え、心の統合と真の回復を目指します。
◉ トラウマとは「凍った時間」である
冒頭で語られたのは、「トラウマとは、過去の出来事ではなく“今もなお現在進行中の時間”として心のなかに存在している」という衝撃的な概念です。
5年、10年、50年経っても、心の中ではその出来事が“凍った時間”として止まっており、それが悪夢として現れたり、突発的な感情反応を引き起こしたりします。
この“凍った時間”を溶かすために必要なのが「追体験」であり、あの時感じきれなかった怒りや恐怖、悲しみを“今の自分の全人格”で再体験することで、時間が流れ出し、過去の出来事として整理され、癒しが起こるのです。
◉ 「親をも◯せ」の真意と心の儀式
なぜ“親”を対象にするのか?それは多くのトラウマが、幼少期に絶対的存在であった親や身近な大人との関係から生まれているからです。
親からの理不尽な一言、弟妹の誕生による愛情の分散、期待に応えられなかった罪悪感──それらの感情は怒りや悲しみとして抑圧され、「親にそんな感情を抱いてはいけない」という道徳観によって心の底に封印されていきます。
本対談では、それを“想像の中だけで思い切り解放する”というエクササイズが紹介されます。暴力的な想像であっても構わない。あくまで「心の儀式」として行うことで、抑圧された怒りを解き放ち、最終的には感謝や愛情へと変容していくという深いプロセスです。
◉ トラウマを見つける具体的な方法と夢の活用
では、自分のトラウマはどうすれば見つかるのか?
それは、日常の些細な感情の動きや“過剰反応”にヒントがあります。特定の人への苦手意識、怒りすぎてしまう瞬間、意味不明な落ち込み──それらの裏に“忘れられた凍結時間”が潜んでいることがあります。
また、夢も非常に重要なヒントとなります。悪夢の中で「振り返る」ことで、その恐怖の正体が見えることもある。東郷氏は、自身の体験として“夢の中で逃げずに振り返る”ことで深層心理にアクセスし、自身のトラウマを発見・解放していった実例を紹介しています。
◉ トラウマから自由になることで現実が変わる
こうした“心の解放”は、現実の人間関係にも変化をもたらします。
たとえば、幼少期の母親への怒りを解放することで、なぜか母親との関係が改善する。これは、私たちが無意識に持っている“相手に対する感情”が、相手の反応にも影響しているということです。
また、過去に自分が無力だったことで生じた怒りや悲しみを思い切り出し切ることで、心のキャパシティが広がり、他者との関係も柔らかく、豊かになっていきます。
◉ 集団としてのトラウマと未来の可能性
さらに本対談では、個人のトラウマにとどまらず、「民族的トラウマ」──たとえば日本人の“敗戦トラウマ”やアメリカ黒人の“奴隷制度の記憶”といった、集合的無意識に刻まれた痛みについても言及されました。
2025年は“内なる爆弾=トラウマ”を発見し、癒すことによって、個人だけでなく社会そのものが変化していく年であるとのメッセージで締めくくられています。
まさに、今こそ“心の中の凍った時間”に向き合うべき時なのかもしれません。
