則武謙太郎氏と共に、米不足問題や情報統制の背景、“善悪二元論”による分断社会の危険性について語り合いました。日本人が本来持つ共生の価値観を思い出し、真の対話へ向かう一歩に。

◉ 正しい情報を伝える難しさと覚悟

則武謙太郎先生は、心理カウンセラーとしての専門性を活かしながら、「お注射問題」や「米不足」など、日本の未来に関わる重要なテーマをYouTubeで発信されています。番組では、正しい情報を届けようとする中で受ける誹謗中傷や、人格攻撃、コメント欄での荒らし行為など、情報発信者にのしかかるプレッシャーとその精神的影響について率直に語ってくださいました。

これらの批判の背後には、単なる個人の感情ではなく、組織的な世論操作や心理的誘導の存在すら感じられるとの指摘もありました。しかし、そうした困難にも負けずに発信を続けてこられたのは、「今の日本をこのまま子どもたちに渡せない」という使命感に支えられてのことです。

◉ 「善悪二元論」という罠と“正義中毒”

番組ではさらに、「悪を叩くことが正義である」という西洋的な善悪二元論が、現代人の無意識に深く入り込んでいることが取り上げられました。とりわけネット社会においては、自分が“正義”の側であることを証明するために、他者を攻撃するという行動様式が蔓延しています。

これは心理学的に見ても「正義中毒」と呼ぶべき状態であり、善意のつもりがいつしか他者否定へとすり替わり、争いのエネルギーに呑まれていくという危険を孕んでいます。このような状況に陥らないためには、「何のために情報発信をするのか」という根本に立ち返ること、そして日本人が大切にしてきた“共に生きる”という精神性を思い出すことが重要だと、則武先生は語ります。

アニメ『鬼滅の刃』の例を引きながら、「悪役」にも過去があり、憐れみや同情の感情を持つことこそが日本的精神の特徴だという話は、視聴者にも深い共感を呼ぶものでした。

◉ 米不足と外国産米の裏側にある構造

後半では、則武先生が近年力を入れて発信している「お米の問題」にも話が及びました。かつての減反政策により国内の米生産量が減少する中、政府は米の輸出に力を入れる一方で、国内消費には外国産米が増えてきているという現状があります。

この構図は、日本人が減り、外国人労働者を増やすという社会の動きと酷似しており、「日本の主食を日本人が食べられなくなる」という深刻な問題として捉えるべきだと警鐘が鳴らされました。

アメリカとの関税交渉では、輸入米の関税を下げる議論もなされており、これが実現すれば日本の農家が壊滅的打撃を受ける可能性があります。しかし大手メディアや識者は、その問題点にはほとんど触れず、むしろ関税引き下げを「国民のため」と称して推進しようとしています。

このような動きの裏には、情報の偏り、利益誘導、そして国民の無関心が複雑に絡み合っていると考えられます。だからこそ、正しい情報を知り、自ら考えることが求められているのです。

◉ 心を映す書と、伝える力

最後に、書家としての則武先生の一面にも触れられました。書にはその人の内面が映し出されるとされ、則武先生の書にはまっすぐで温かい心が滲(にじ)み出ています。己書(おのれしょ)の精神──上手下手ではなく、自己表現としての書──を大切にされており、その人柄の素直さと誠実さが、多くの人に伝わっていることがわかります。

真摯に情報を伝えようとする姿勢と、人間の温かさ。その両方を兼ね備えた則武先生との対談は、現代における「発信する意義」と「人を傷つけない言葉のあり方」について、深く考えさせられる時間となりました。

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