本対談は、東郷潤先生による、日本経済および世界経済の現状を「メタボ経済」とする問題提起です。中心テーマは、「生産性向上が必ずしも幸福につながらず、むしろ失業圧力を増大させ、社会的コストを肥大化させている」という問題です。他では決して聞くことのできない経済問題の本質的議論です。
現代経済の「メタボ化」の本質
江戸時代と現代の生産性を比較し、生産性が500倍以上に向上した現代社会で、わずか200人の労働力で江戸時代の1000人分以上の生産が可能となることを指摘。その結果、失業圧力が増加し、「やらなくてもいい仕事」を創出していると述べています。この「余計な仕事」や「無駄な政策」が現代社会のメタボ、つまり「脂肪」です。
利権と政策の問題
現代経済における「脂肪」の具体例として、天下り先のための不要な機関や、無駄に支出される医療費(例:不必要な延命治療や過剰な薬の処方)が挙げられています。現実に医療費だけでもおよそ47兆円が使われ、その出費の多くが、必要性の低い医療に費やされています。あるいは生産性向上を目的とした規制緩和や自由貿易推進の政策も、失業の輸出や国内の雇用圧力を増幅させています。
国際的な視点と自由貿易
国際的には、19世紀の経済理論「比較生産性説」がいまだに影響を及ぼしていることに触れ、自由貿易推進が各国で行われる一方で、実際には国内産業の競争力低下や失業問題を助長しています。国際競争に勝つための政策が国内の雇用や生活水準に悪影響を与えているのです。
「戦争」と「公共事業」の比較
興味深い例として、戦争が「在庫一掃セール」として機能し、新たな軍事需要を創出する手段であるという指摘もされています。これは「地獄の穴掘り穴埋め作業」と同じです。虚しさと非効率性を象徴しています。
未来への提言
対談の終盤では、東郷先生が意識変革の必要性を強調。過去150年間の産業構造を振り返りつつ、現代の生産性向上至上主義からの脱却を訴えています。経済の在り方を見直し、本質的な豊かさを追求するための社会構造改革が求められるとしています。
結語と次回予告
こうした本質に迫る議論は、現代経済の本質を理解する上で非常に貴重なものです。
次回のライブ配信(12月6日)は、本対談の続きとして、意識改革の具体的な方法や社会構造の改善策に焦点を当てる予定です。