天皇誕生日を祝うとともに、天皇陛下の本来の意味や役割を考察。天皇陛下の呼び方の正しさ、歴史を通じて果たしてきた役割、国民との関係を解説し、日本の精神文化の根幹としての重要性を語る。

天皇誕生日とは何か

2月23日は今上陛下の御生誕の日であり、日本の「国家の日(ナショナルデー)」とされる重要な祝日です。この日は皇居内で「祝賀の儀」「宴会の儀」「茶会の儀」「一般参賀」が行われ、国民が天皇陛下のご健勝を願い、お祝いする日となっています。
今上陛下は1960年(昭和35年)にご誕生され、「浩宮(ひろのみや)」の称号を持たれました。そして即位後は「天皇陛下」とお呼びするのが正式な礼儀です。歴代の天皇も即位中は諱(いみな)を呼ばれることはなく、崩御後に「〇〇天皇」という諡号(しごう)が贈られます。

なぜ天皇陛下のお名前を呼んではいけないのか

日本では、天皇陛下の諱(いみな)は公の場で呼ばれるものではなく、御在位中は「天皇陛下」または「今上陛下」とお呼びするのが正しい慣習です。
この文化の背景には、天皇が政治権力よりもさらに上位の御存在であることが関係しています。江戸の昔には天皇陛下は「天子様」「お内裏様」とも呼ばれ、その姿を直接見ることすら「目が潰れるほど勿体ない」と言われるほどの尊い存在とされていました。
この考え方は、単なる形式ではありません。
日本人の価値観や国家観と深く結びついています。天皇陛下を目にすることも勿体ない高貴な御存在とすることで、武士や政治権力者が独裁的に権力を握るのを防ぎ、国民が「天皇の民」として誇りを持って生きることができる社会を作り上げたのです。

天皇陛下の存在がもたらす日本の秩序

日本では、政治権力者は「天皇陛下のもとにあって国を治める」という形を取ることで、独裁を防ぐ仕組みが作られてきました。
江戸時代の将軍も、全国の大名も、あくまでも「天皇陛下の臣下」としての立場です。この仕組みが、日本独自の秩序を形成し、民衆が自由に生活することを可能にしたのです。
だからこそ、天皇陛下の御存在は単なる国家元首という枠を超え、日本人の精神的な拠り所であったのです。「百姓」という言葉も、天皇陛下の民であることを誇る意味が込められた言葉であり、決して卑下されるものではありません。
明治維新後、西洋の価値観が導入され、天皇陛下の役割も一部変化しましたが、本来の意義を正しく理解することが、今の日本においても重要です。

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