【内容要約】
昭和18年版の初等科国史を皆様とともにシリーズで学んでいこうと思います。
このシリーズを通じて、昔の教育がどのようなものであったのかを知ることができます。
そして実は、この時代の小学校で勉強した子供たちというのが、その後の日本の高度成長を形成していった、つまりこの教科書は、たいへん優秀な人たちを多く育てたということになります。
その人たちがどのような教科書で勉強したのか。
実はこの教科書ができるとき、当時の文部省の発表にあるのですが、「それまでの教育は、西洋の教育に倣(なら)うことで、やや知識偏重、詰め込み型になっていた。その反省から、もっと子供たちにしっかり考えてもらおうと、この教科書作りをした」とあります。
実際、この教科書を読むと、なるほどそのことがわかります。

『初等科国史』は、ハート出版から復刻版の本が出ています。
内容、文章は全く同じものですが、この番組では、今画面に映っている、こちらの「デジタル国会図書館」の教科書を使って行こうと思います。

さて、最初は「神国」です。神国とは日本のことですね。
第一高千穂峰から始まります。
ちょっと読んでいきます。

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 大内山の松の緑は大御代の御栄をことほぎ、五十鈴川の清らかな流れは、日本の古い姿をそのままに伝えています。
遠い遠い神代(かみよ)の昔、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)は、山川の流れも美しい八つの島をお生みになりました。これを大八州(おおやしま)といいます。島々は、黒潮たぎる大海原(おおうなばら)に、浮城(うきしろ)のように並んでいました。つづいて多くの神々をお生みになりました。最後に、天照大神(あまてらすおおみかみ)が、天下(あめのした)の君としてお生まれになり、日本の国の基(もとい)もとおさだめになりました。
 大神は、天皇陛下のご先祖に当たらせられる、かぎりもなく尊い上であらせられます。御徳(おんとく)きわめて高く、日神(ひのかみ)とも申しあげるように、御(み)恵みは大八洲にあふれ、海原を越えて、遠く世界のはてまで満ちわたるのであります。
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このような文章になっています。ただこちらの本と、こちらの元々の本では、若干の違いがあります。
何が違うかというと、たとえば「神」という字が「しめすへん」になっています。つくりは「申」で、つまり言葉で示していくのが神なのだといった考え方が文字に表れているわけです。


また「御徳」の「徳」という字も、ちょっと難しい漢字の「德」を使っています。現在使われてるという漢字と違うのは、漢数字の四みたいなところの下に、線が一本入っています。ここはもともとは「悳」と書いたところで「まっすぐな心」を意味します。これに付いている「彳」は「進む・行く」という意味ですから、德とは「まっすぐな心で進む心」とわかるわけです。つまり「御徳極めて高く」という言葉は、まっすぐな気持ちでずっとずっと進んでいくことができる、曲がりくねった道でも、道に迷うことなくまっすぐに進むんでいくことができる道をお示しになられているとわかるようになっています。


また「恵」という字も、「惠」という旧字体で書かれています。「惠」という字は、上の部分が糸巻きの象形で、その下に心と書きます。糸巻きに糸を巻きつけるように、大切なものをしっかりと心にきざんでいく。それが愛というものであり、糸は「結ぶもの」ですから、天照大御神様の御惠は、万民を結ぶものだという意味がここにかぶせられていうわけです。


つまり天照大御神様の御徳は、天照大神様が道をまっすぐに示され、その心が大八州にあふれて、海原を越えて遠く世界の果てまでを照らすのだということが書かれていてるわけです。愛とは「愛(いと)しく愛(め)でるような気持ちで相手を愛(おも)うことであり、その愛によって、ひとりひとりが生き生きと伸び伸びと安心して安全に暮らしていくことができるように、天照大御神様がしっかりと守ってくださっているのだ、その愛は、あまねく世界の果てまで照らしているのだということが、ここに書かれているわけです。

実際の授業では、「はい、みなさん、この愛という漢字の意味かわかる人、手を挙げて」となって、生徒たちからいろんな答えが返ってくる。その意味を自分の頭で考える。そのうえで、
「はい山田君、君はどう思う?」
「はい。天照大神様は温かな愛の心で世界の果まで照らしてくださるのだと思います。だから太陽の神様です。太陽の光は、世界を照らすからです」
なんて具合に授業が進められていきました。

世界中、お天道様の光が当たらないところはないわけです。どこの国にもちゃんとお天道様はある。そうやって世界中の人々がみんなが豊かに安心して安全に暮らせるようにしていく。これこそが天照御大神様の思いであり、ご存在であるということを、ここで子どもたちは学ぶわけです。
こういうことをしっかり勉強してきたから、戦後体制の中にあっても熱い気持ちを持つ子供たちが社会を担い、我が国の高度成長が支えられてきたのです。

こんな感じで、国史教科書を読んでいこうと思います。
国史教科書には、楠木正成の活躍や、神功皇后の活躍など、様々な歴史のエピソードが盛り込まれています。
それらを皆様とご一緒に、教科書の全部を読むということではなく、美味しいところをつまみながら、皆様と楽しんでいきたいなと思っています。
ぜひこのコーナーを楽しみにしていただければと思います。

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