西暦73年、イスラエルのマサダ砦で起こったユダヤ人の集団自決。そこから始まるディアスポラの歴史と、イスラエル建国を支えた日本の精神文化との深い関係についてお話しします。
◉ マサダ砦の悲劇とディアスポラの始まり
本日4月16日は、西暦73年にユダヤ人たちが立てこもった「マサダ砦」がローマ軍に包囲され、936名が集団自決を遂げた日です。この出来事はユダヤ戦争の終焉を意味し、その後ユダヤ民族は国を持たず、流浪の民「ディアスポラ」として世界に散っていく運命をたどります。3年もの間、わずか1000名弱で1万5000人のローマ軍に抗し続けた勇敢な姿は、今もイスラエルの心に刻まれています。
彼らの最後の言葉は、「神の奴隷にはなれても、人の奴隷にはならない」というものでした。そしてこの精神は、現代イスラエルにも受け継がれています。特に徴兵制度下にある若者たちは、マサダ砦を訪れ、「マサダは二度と陥ちない」と誓うことで、国家の存立と誇りを再確認しているのです。
◉ 日本の武士道がユダヤの魂に火を灯した
イスラエル建国を語る上で欠かせないのが、「トランクテル(トランプ徹)」という人物です。彼はロシア軍兵士として日露戦争に従軍し、日本の捕虜となりました。日本人の質素ながら誇り高い生き様に感銘を受けた彼は、とある日本人男性から「国のために死ぬことは名誉なこと」という言葉を授かります。
その言葉は彼の心に深く刻まれ、以後ユダヤ人同胞へ語り続け、イスラエル独立の精神的支柱となりました。実際に彼は後のイスラエル独立戦争に命を賭して参加し、最期にはその日本語の言葉を遺して息を引き取ったと伝えられています。
イスラエルではこの言葉が今も大切にされ、教育現場や徴兵訓練の中で次世代に語り継がれています。その影響は、イスラエルの子どもたちが「君が代」を合唱するなど、親日感情の育成にも繋がっています。
◉ 歴史が教える民族精神と現代の日本への問いかけ
マサダ砦の存在は19世紀にドイツ人考古学者によって再発見され、それまで「神話」とされてきた出来事が歴史的事実として認識されるようになりました。イスラエルは自国の正統性を証明するため、国を挙げて歴史調査を行っています。歴史の検証が民族意識を育む重要な要素であることを、彼らは深く理解しているのです。
一方で、現代の日本においてはどうでしょうか。日本は戦後、精神文化を軽視し、国家の誇りを失いかけているように見えます。しかし、歴史を大切にし、人を思いやる精神を取り戻すことで、日本は本来の姿を再生できるはずです。
思想や制度ではなく、「人」を中心に据える──それが日本の強さの源であり、世界の混乱の中に希望の光をもたらすカギであると信じています。
