日蓮上人が鎌倉幕府に提出した『立正安国論』は、天災や内乱、外国からの侵略を予言し、国の在り方を問う檄文でした。その思想は現代日本にも深く通じています。
◆ 虹のように多様な価値観──7月16日の「記念日」と日本人の感性
7月16日は「虹の日」としても知られています。
これは「なないろ=716」の語呂合わせにちなみ、デザイナーの山内康弘氏が、人と人、人と自然が七色のように調和する願いを込めて制定した記念日です。
虹の色の数は文化や地域によって異なり、
日本では赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七色が基本。
一方、アメリカでは6色、ドイツでは5色、インドネシアでは4色、台湾ではかつて3色とされていました。
これは「色彩感覚」が文化そのものであり、人類の視覚や言語体系がどれほど多様かを物語っています。
この「多様性の尊重」こそが、7月16日という日が持つもう一つの象徴的な意味であり、私たちが目指すべき共生のヒントにもなっています。
◆ 日蓮の予言書『立正安国論』と、的中した二つの“難”
文応元年(1260年)7月16日(現在の暦では8月24日)、日蓮上人は『立正安国論』を鎌倉幕府に提出しました。
当時の日本は地震や洪水、疫病などの天変地異に見舞われ、人心が乱れ、社会の秩序も不安定になっていました。
『立正安国論』は、旅人と宿屋の主人の対話という形式で書かれており、非常に読みやすい構成となっています。
旅人が災いの多い世相を嘆くと、主人は「仏教を軽んじた結果、善神が日本を捨てて天に帰った」と語ります。
この「善神捨国論」は、神々による守護の断絶という警鐘でもあります。
主人はさらに「未だ起こっていない二つの大災難」について警告します。それが、
• 他国からの侵略〈他国侵逼難〉
• 国内の内乱〈自界叛逆難〉
でした。
実際にこれらは、日蓮の予言通りに的中します。
1272年には北条氏一門の内紛「二月騒動」が勃発し、
1274年には元寇が襲来。
このことにより日蓮上人の預言的警告の正しさが明らかとなり、彼の支持者は増加しました。
◆ 現代日本への警鐘──“善神”は国を見捨てるのか?
番組では、立正安国論の精神を現代に照らし合わせ、
「戦後の日本は果たして神々に見守られる国であり続けたのか?」
という問いが投げかけられます。
戦後復興から高度成長期を経て、かつて世界第2位の経済大国にまで登り詰めた日本。
しかしバブル崩壊後の30年間で、その多くを手放してきました。
国内産業の空洞化、政治の劣化、経済格差の拡大──まるで「善神」が再び日本を去ったかのような印象さえ抱かせます。
日蓮上人が嘆いたように、「正しき信仰」と「国を思う心」が失われたとき、災難は再び訪れる──。
これは宗教を越えて、「道を忘れた国がどうなるか」という歴史的警告であり、現代日本が直面する“安国の条件”を見直す大きなヒントでもあります。
番組の締めくくりでは、「選挙に行こう」という一言に、
平和的かつ民主的に“日本を取り戻す”という願いが込められています。
