日本の食料自給率について、農水省はカロリーベースで37%と発表していますが、使用している種子や農薬から輸入物を除くと、純粋な自給率は、わずか4%しかないといわれています。そして多くの農産物が輸入に頼る状況にあります。万一輸入が途絶えると、日本の人口のわずか4%しか生き残れない可能性も。我々が国産農産物を支え、食の安全を守るためにできることを考えます。

日本の食料自給率の現実とリスク

日本の食料自給率について、農水省はカロリーベースで37%と発表していますが、使用している種子や農薬から輸入物を除くと、純粋な自給率は、わずか4%しかないといわれています。そして多くの農産物が輸入に依存しています。特に、国産の種子や有機肥料のみで生産された食料は全体のわずか4%しかなく、輸入が途絶えた場合、約500万人しか生き残れない可能性があります。

こうした状況に対し、「日本が食料を輸入できなくなることはない」と考える人もいますが、歴史を振り返るとそうとは言い切れません。例えば、戦後の日本は食料危機に直面し、食料自給率が70%となりました。これにより、たいへんな事態が起きたことは、我が国の記憶に新しいことです。さらに、現代では戦争や経済封鎖、天変地異などの要因により、輸入が制限される可能性も十分に考えられます。

輸入される食品の質にも問題があります。多くの国では自国民向けに安全な食品を確保し、輸出には品質の低い農産物が回される傾向があります。そのため、日本が輸入に頼り続けることで、健康被害のリスクも増大しています。

日本の農業政策の問題点と影響

日本の農業は、長年にわたり政府の政策によって衰退してきました。例えば、2017年までは減反政策が続き、米の生産量が制限されていました。最近では、減反政策は、農地を活用する形での太陽光パネル設置奨励へと変化しましたが、これは事実上の減反政策と何ら変わりがないことです。

いま農業を続けている人々の6割以上が、80歳代の高齢者です。どうしてそのような年齢になっても農業を続けているのかといえば、その多くは、農機具の修理代金のローンが残っているから。個人所得はほぼゼロに近い農家も多数あるというのが現状です。

一方、世界の主要国は自国の農業をしっかりと保護しています。例えば、中国は世界最大の小麦生産国でありながら、自国民向けの供給を優先し、輸出をほとんど行いません。しかも習近平政権のもと、緑の革命といって、国内向けには無農薬農業が推奨され、かつて荒涼としていた大地は、いまではすっかり緑の農地となっています。アメリカやフランスも農業に多額の補助金を投入し、農家を支援しています。

それに対し、戦後の日本政府は、自国の農業保護をまったくと言ってよいほど、保護しようとしていません。結果、国産農産物の価格が高騰し、消費者は安価な輸入食品に頼らざるを得ない状況になっています。このままでは、日本の農業はますます衰退し、将来的に深刻な食料危機を迎える可能性があります。

私たちにできること―農業を守るための4つの行動

日本の農業を守り、未来の食の安全を確保するために、私たち消費者ができることは以下の4つです。
(1)国産農作物を積極的に購入する
安心・安全な日本の農産物を選ぶことで、国内の農業を支えます。地産地消の意識を持ち、できるだけ地元の農作物を購入することが重要です。特に花粉症の方。輸入小麦の摂取を減らすことが大事です。
(2)農業政策に関心を持ち、政治家の選択を見極める
食料自給率の向上には、政治の関与が不可欠です。食料問題に無関心な政治家ではなく、農業を重視する政治家を選ぶことが、国の未来を守ることにつながります。
(3)家庭菜園を始める
たとえ都市部のマンション住まいでも、ベランダ菜園などで一部の野菜を育てることは可能です。これにより、食の自給意識を高め、食料供給の不安に備えることができます。
(4)健康でエネルギー価値の高い食品を選ぶ
食品添加物が多く含まれた輸入食品ではなく、安全性が高く栄養価のある国産食品を選ぶことで、健康を守ると同時に、日本の農業を支援することができます。

未来の世代のために、今私たちがすべきこと

現在の日本の農業政策は、未来の子供や孫たちの世代に大きな影響を与えます。今のまま輸入依存が続けば、将来の日本人が安全な食料を確保できる保証はありません。

戦後の日本人は、飢えの経験をもとに食料の安定供給を目指しました。しかし、近年の政策の影響で、再び食料危機に直面するリスクが高まっています。だからこそ、私たち一人ひとりが意識を持ち、行動を起こすことが重要です。

消費者の選択が変われば、農家もそれに応じた生産を行うようになります。安全な食料を求め、国産食品を選ぶことが、日本の農業を守る大きな一歩となります。

「我々の一歩が日本を変える」――今こそ、私たちが未来のために行動を起こす時ではないでしょうか。

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