農家兼議員の宇井伸征氏と、小名木善行が日本の稲作の危機と再生の道を熱く討論。外国産依存の問題、日本人の精神性、地方からの再生戦略などを多角的に掘り下げます。

◉ 現場から語る日本農業の課題と可能性

千葉県香取郡多古町で16ヘクタールの水稲栽培を行いながら町議会議員も務める宇井伸征氏が、農業の最前線から現状と希望を語ります。農業は高齢化や担い手不足など多くの問題を抱える一方で、近年は米価が上昇傾向にあり、設備投資のチャンスとも捉えられます。宇井氏は、稼げる農業にすることで若い世代を呼び戻し、地域に人とお金が循環する仕組みをつくりたいと熱意を語ります。

かつてGHQによる農地改革で分断された農業の構造や、減反政策による後退など、戦後政策が日本農業を弱体化させた側面にも言及。宇井氏のように地域に根差し、農業と政治の両面から改善を図る存在は、今後の日本の希望の光といえるでしょう。

◉ 「外国米を買えば良い」はなぜ誤りなのか?

「米が足りないなら外国から買えばよい」という考えは、一見合理的ですが、宇井氏と小名木氏はその本質的な問題を指摘します。外国から米を買うにはドルが必要であり、それを得るためには工業製品を輸出して外貨を稼がねばなりません。結果として、せっかく得た収益をまた食料輸入に費やすという矛盾が生じます。

また、国防や災害時のリスクにも注目が集まります。例えば南海トラフ地震のような災害時、自給体制が整っていなければ、食糧確保は困難になります。輸入頼みの状況は、国民の生命と生活の安全保障を根底から脅かすのです。

さらに、実際に国産米を使用する飲食チェーンに対して、不可解な嫌がらせや工作が見られる現状もあり、国家的な意思の欠如や外圧の影響も懸念されます。こうした背景から、国産米を守ることは「食の安全保障」であるという認識を広める必要があります。

◉ 若者と地方を育てる“稼げる農業”へ

宇井氏は、「農業で年収数千万円」を実現可能にする道を見据えています。現代の農業は自動化や大型機械の進化により、従来の“3K”イメージとは異なる、高収益型産業へと変貌しつつあります。農業が魅力的な職業となれば、若者が地元に残り、結婚・出産・子育てへとつながり、少子化対策にも寄与すると強調されました。

そのためには、地方自治体がインフラ整備や若手農家支援に本腰を入れ、民間との連携を強化していく必要があります。米の価格が適正に保たれ、消費者にとっても手の届く価格帯で流通させることが求められます。

補助金を使うなら、外国米の輸入に使うのではなく、国内農業の再建に充てるべきです。「地方から変えるしかない」──この言葉を実践する宇井氏の姿勢は、日本の未来を切り開くヒントを与えてくれます。

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