所得税は明治期に導入された時限立法でした。日本はそれ以前、国営インフラと事業収入で国を支えていました。民営化と高負担の現在を見直し、国民本位の税制と公共インフラの再構築を提案します。
■ 所得税は“臨時税”だった──その歴史的背景
所得税が日本で初めて導入されたのは明治20年(1887年)。
本来これはイギリスからの提案により、軍艦建造の資金調達のため、2年間限定で導入された「臨時税」でした。
ところが、一度導入された所得税が恒常化して、今日に至っています。
世界初の所得税は1798年、イギリスがナポレオン戦争の戦費調達のために導入したもの。
つまり、戦争という“例外”への対処としての手段だったのです。
江戸時代以前、日本には所得税も消費税もありませんでした。
それでも国は機能していた──その答えは「国営の事業収益」にありました。
■ 江戸時代の税制と国家運営──“お米”が支えた日本
日本では古来より、税といえば「お米(年貢)」でした。
生産された米の半分を村で備蓄し、残りを税として納める。
これは搾取ではありません。
災害や戦時のための「備蓄システム」でもありました。
備蓄された米は、戦時の兵糧や公共事業(堤防・道路建設など)、神社や寺院の維持、藩士の給料に充てられ、循環型の経済システムが成立していました。
この体制では、“税”とは庶民の命と暮らしを守るための備えであり、国の財源は塩などの生活必需品の国営販売や、信長・秀吉のような「経済統制と商業課税」によって成り立っていたのです。
■ 所得税・消費税なき国家の再建は可能か?──現代への提言
現代日本が「高税率国家」となってしまった背景として、戦後の新自由主義・民営化の流れがあります。
電気・ガス・水道・通信など、本来は国家インフラであるべき領域が次々と民営化され、国の収益源が失われた結果、国民から税金を取る以外に財源がなくなりました。
逆なのです。
国営事業を復活させれば、所得税も消費税も不要になるのです。
江戸時代や明治の国営事業に立ち返り、生活インフラを国の責任として再構築することで、
・生活コストの大幅削減
・公務員給与や公共工事の安定財源確保
・災害対応や危機時の対応力向上
といった多くのメリットも得られるのです。
現に、郵政や水道の民営化など、民営化によってサービスや料金が実際に悪化しています。
公共性こそが国の本質なのです。
ビジネス的発想で国家を再設計すべきではない」のです。
また、国営通信インフラを活用すれば、通信費を月500円に抑えるなどの未来像も示されています。
■ いま必要なのは、“発想の根本的転換”
「国民の生活共同体としての国家」を再定義し、歴史に学びながら「あるべき姿」を再考すること。所得税や消費税は、本来「例外時の一時的措置」であったはずです。
世界がやっていないからこそ、日本がやるべきなのです。
日本には万年単位で培ってきた独自の制度と思想があり、そこにこそ再生のヒントがある──。
歴史を知り、学び、現代の制度を根本から見直すことが、日本の未来を切り開くカギになるのではないかと結ばれています。
