坂東忠信先生の新著を手がかりに、日月神示の読み方と時系列化の試みを紹介。2044年を一つの節目としつつ、食料・社会不安・価値観転換への備えを説き、「和」の心で静かに整える重要性を伝えました。
Ⅰ なぜいま『日月神示の大峠2044』なのか──読みやすさと論理で結ぶ「神示」
番組では、坂東忠信先生の新著『日月神示の大峠2044』を取り上げ、執筆の背景と狙いをうかがいました。
著者自身がこれまで移民・治安・スパイ等の現実問題を扱ってきた流れから一見離れるように見えるが、本書は「神示」を論理のことばで再配置し、現下の世界を読み解く座標軸を用意する試みだと位置づけられます。
まず評価されたのは「読みやすさ」です。
神話や霊性の話題は抽象に流れやすいところ、本書は因果の筋道を明快に示し、「なるほど」と腑に落ちる構成になっています。
著者は、単なる未来予報ではなく、「預かった言葉(預言)」としての神示に含まれる世界観、すなわち人間と神の関係、歴史の真相、そして生の意味までを一望できるよう整理したと説明しました。
さらに、古典(古事記・日本書紀)との接続にも言及がありました。
伝誦から記録へと移る過程で生じた表現の揺らぎ、文字化・訓読の困難、そして多説併存の状態を踏まえつつ、戦後直前に降ろされた神示を、時代の文脈の中で読み直す作業が必要だという視点です。
番組では、言語・表記の歴史にも触れながら、「どれが本当か」を二項対立で裁断するのではなく、
「重なる構造」を抽出していく態度が示されました。
Ⅱ 予言か、預言か──三章構成で描く世界像とタイムライン
本書は三章構成です。
第1章は「あの世とこの世の仕組み」。
現実世界と神々の世界がどのように重なり合い、響き合っているかを示し、古典解釈とも通底する視座が提示されます。
第2章は「神様の計画表」。
抽象概念に留めず、できる限り時系列化して段取りとスケジュール感を可視化した点が特徴です。
第3章は「神の出現と神々の事情」。
価値観と世界の規則が転換する局面を、連続と不連続がグラデーションで移行するイメージとして描きます。
鍵語のひとつは「2044年」。
日月神示にある「百年、嘘は言わんぞ」という文言に基づき、あくまで上限目安としての節目を2044年に置きつつ、その前段で「峠(大きな転換点)」と「大いなる試し」が連続してくる、と読み解きます。
重要なのは、暦日の一点に“突然変わる”のではなく、8→9→10と段階が重なり、規則や常識の“性(しょう)”そのものが変わっていくという把握です。
この“性”の転換は、物理法則の比喩を用いながら説明されました。
万有引力やエントロピーのような「当たり前」が、そのままの当たり前ではなくなる。
だからこそ、線的時間の延長で未来を推すのではなく、段階と層の重なりで見る必要がある──この観点が本書全体を貫いています。
番組では、著者が警察時代に培った「供述の時系列を渦巻き図で整序する技法」を応用し、断片的な言葉を前後関係に並べ、峠までの全体像を整理した工夫も紹介されました。
点を線に、線を面にすることで、読み手の心的負担を減らし、混乱時に参照できる“座標”をつくる意図が伝えられます。
Ⅲ 「峠」を越える備え──食と社会の騒動、価値観の転換、そして“静かさ”の倫理
読み解かれたタイムラインには、現実的な生活課題に直結する示唆が含まれます。
まず「食に関する騒動」。
供給の乱れや代替の加速など、食をめぐる混乱が生じ、その後に人間の素地が露わになる局面が来る、とされます。
ここで強調されたのは、「鍛えた心」は良い面が現れ、「準備のない心」は負の側面が出やすいという、人間観に根ざした警告です。
派手な恐怖ではなく、日々の所作・節度・共同性の涵養こそが最大の備えになる、というメッセージが通底します。
さらに、地軸移動(ポールシフト)や巨大火山の動きに触れた記述も引用されました。
仮に劇的な自然現象が起きたとしても、知っている者と知らない者では心構えが違います。
映像的ショックに呑まれず「ここで峠が越えられる」と理解できれば、心理的崩壊を避け、次の段階へ移るための行動を選びやすくなる、というわけです。
ここで語られた倫理は、「わかった人ほど口静かになる」という神示の言葉に象徴されます。
騒乱の時代にこそ、煽らず、誇らず、淡々と整える。
自分ひとりの生存ではなく、「一族と仲間が揃って新しい時代を迎える」視点に立つ。
これが、恐怖を燃料にした分断ではなく、和を土台とした共生へ踏み出す実践だと結ばれました。
番組の後半では、日付や具体例に踏み込みすぎない配慮も示されました。
時日を断定的に流布し、外側の不安を煽ることは本意ではありません。
むしろ、「静かに備える文化」を取り戻すことが、最大のリスク対応だという合意が強調されます。
具体的には、
(1)食の自衛=買い占めでなく“循環”と“ストックの新陳代謝”を日常化する、
(2)情報の自衛=出所を確かめ、噂話に心を持っていかれない稽古をする、
(3)共同の自衛=家族・地域・学びの仲間と小さな助け合いのネットを平時から編んでおく、
という三点が、過度な恐怖ではない「穏やかな備え」として提案されました。
最後に、「和の心」の国から世界へ、という射程が語られました。
力による抑止や善悪二元の戦いだけでは持続的な平和は生まれにくい。
相互信頼と相互理解に基づく平和づくりの核に、日本の結びと礼の文化が置かれうる。
戦後の自己否定をほどき、内面の静けさと外向きの発信を両立させることが、これからの時代を越える鍵だという認識で一致しました。
