10月2日は「豆腐の日」。生食文化の背景から業界団体のリアル、リットン調査団と国際世論の力学、そして「自制と対話」で進む日本の作法まで。朝のライブ要点を一気に凝縮しました。
Ⅰ 「豆腐の日」から見える日本の食文化と“業界団体”という仕組み
10月2日は語呂合わせで「豆腐の日」です。日本の豆腐は生食を前提に、絹ごし・木綿ともに柔らかく淡白な味を楽しめるよう作られてきました。清潔な水と衛生観念、手間を惜しまない作法が支えています。
一方、海外では加熱調理が前提のため水分が少ない硬めの豆腐が一般的で、ナイフとフォークで切り分けるスタイルが中心です。前提が違えば最適解も変わる——食文化は社会の基盤を映す鏡です。
記念日を機に、業界団体という器にも触れました。多くの「◯◯協会」は安全基準づくりや広報など公益機能を担う一方、官民の再就職や政策窓口としての顔も持ちます。設立は補助金で立ち上げ、運営は会費で賄うのが一般的。実効性ある活動もあれば、名ばかりの組織が批判を受ける場面もあります。大切なのは、実績・透明性という結果で評価する視点です。
Ⅱ リットン調査団の実像――“ステマ的”国際世論と日本の決断
1932年(昭和7年)10月2日にリットン報告書が公表されました。満州事変後の実情調査としてまとめられ、内容は日本に厳しく、満州国を「日本の傀儡」と断じました。1933年2月24日の国際連盟臨時総会は「撤兵」と「不承認」を勧告。松岡洋右全権は強く反対し退場、3月27日に日本は連盟脱退を通告します。以後、日本は国際社会で孤立を深め、先の大戦への一里塚となりました。
ここで学びたい要点は三つです。
第一に、訴えを誰がどういう前提で行ったか。 当時の中国大陸は群雄割拠で、実効統治や制度整備が脆弱な地域が多く、現地の複雑さを単純化した“物語”が国際世論に乗りやすい環境がありました。
第二に、誰が物語を編んだか。 権威ある肩書や「中立報告」の衣をまとえば、スポンサーや政治的意図が見えにくくなります。今日で言えば“ステルス・キャンペーン”に近い構図です。
第三に、日本側の課題。 軍事・外交・広報の足並み、情報戦への感度、現地の複雑さを伝える言葉の力——どれも不足がありました。
正しさは「声量」では決まりません。一次資料に当たり、語の定義を詰め、検証で積む。この地味な作法こそ、国を支える筋力です。
併せて1937年、イスパニョーラ島(現・ドミニカ共和国とハイチ)では「パセリの虐殺」が発生し、少なくとも1万人超(推計で3万人規模)の命が奪われました。外から火種を投じ、同じ島の住民同士を戦わせる手口は歴史上繰り返され、暴力と報復の連鎖は止めどなく広がります。日本が同じ道を歩まなかったのは、「自制」「作法」「対話」で進むという選択を重ねてきたからです。
Ⅲ 自制と対話でつくる次の日本――“壊れる”時代の歩き方
状況が荒れるほど、短期の怒りや極端なスローガンが支持を集めがちです。けれど、それは分断と疲弊を深めるだけ。暴力に頼らず、ルールと作法で変えるという日本的な手法は遠回りに見えて、実は最短ルートです。
議論は厳しく、しかし人格攻撃に堕さず。相手の論点を正確に掴み、自分の言葉で返す。国家観や歴史観が違っても、共有できる土台はつくれます。
「壊れる」ことは同時に「創造の始まり」です。
食の作法、働き方、営業時間、地域の負担、教育、言葉の選び方——見直す機会がそろっています。たとえば、深夜営業を地域単位で最適化して人件費を賃上げ原資に回す工夫。介護やサービス現場では、役割再設計と教育投資で地域を支える人を増やす工夫。丸投げせず、各自が一段ずつ段取りを進めることが肝心です。
言葉の整備も欠かせません。たとえば「人権」の元語 human rights の right は、本来「正しさ/まっすぐさ」。耳あたりの良い標語ではなく、定義と作法を伴う言葉を大切にしたいところです。日本には「仁義」という、相手を人として遇する古い語彙が残っています。言葉が作法をつくり、作法が社会をつくる——この順序を大切にしたいと考えます。
【お知らせ】
● 10月4日(土) 京都・烏丸「日本のターニングポイント」トークイベント
ちょうど総裁選の節目。終演頃には新体制が見えるはずです。サイン会・書籍販売あり。
https://info.hokkyoku-ryu.com/6506/
● 12月19日(木)〜21日(土)「沖縄・一万鎮魂の旅」
戦跡を巡り、手を合わせ、語り部の話に耳を澄ます三日間。教科書の文字が、人の営みに変わる旅です。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeLjLPI5ljRNhvumJfesYwDoYlrKc8Pc1JfmLjDRNtHztIj_Q/viewform
【まとめ】
豆腐一丁から国際政治まで、一見バラバラの話題に見えて、核は同じです。
● 事実に向き合うこと
● 言葉を鍛えること
● 自制と対話で前に進むこと
壊れるものが多い時代だからこそ、笑顔で段取り良く。今日も一歩、確かな足取りでいきましょう。
