群馬県前橋市の「ひふみ農園」を運営する横堀幸一氏は、未経験から農業を始め、無農薬・有機農法で14年間、安全で美味しい野菜を育て続けています。虫対策には早播き・遅播きの工夫や虫がつきにくい野菜の選定を実施。肥料は魚粉や腐葉土を使用し、名古屋大学の山下昭治博士が開発したπウォーターを活用。初年度から栽培に成功し、循環型農業を実現。自然の味を引き出した野菜は栄養価が高く美味しいと評判です。

農業を始めた経緯

•   横堀氏は農業未経験で、元々はサラリーマン。
•   家庭菜園で無農薬栽培に成功したことがきっかけで、2010年に「ひふみ農園」を開始。

無農薬栽培の工夫

•   虫対策:
•   春は早め、秋は遅めに種まきする。
•   虫が付きにくい野菜(ネギ類、春菊、人参)を優先。
•   虫がつく外葉部分はスルーし、内側を守る。
•   肥料:
•   魚粉(浜松で製造)や腐葉土を使用。
•   化学肥料を極力避ける。
•   πウォーター:
•   名古屋大学の山下昭治博士が開発した細胞水に近い水。
•   3000倍希釈で使用し、作物の成長を促進。

農園の運営

•   農園の規模は10反(3000坪)。
•   息子や障害者施設の協力を得て運営。
•   肥料や種芋のコストを最小化し、循環型農業を実現。

栽培成功のポイント

•   初年度から栽培がうまくいったことが特徴。
•   無農薬農業が難しいとされる中で成功例。
•   特にキャベツやジャガイモ、人参が良く育つ。

安全で美味しい野菜

•   無農薬で栽培した野菜は、硝酸態窒素が市販野菜の1/4以下。
•   葉物野菜は黄緑色に育ち、栄養価が高い。
•   大根、人参、生姜などの味が格別。

感想と学び

•   農園を続けて良かった点:
•   家族から「美味しい」と言われたこと。
•   農作物の安全性と美味しさを実感。
•   小名木氏の感想:
•   無農薬野菜の美味しさに驚き。
•   昔の日本人が食べていた「本物の味」を再認識。
•   現代社会が経済優先で失ったものを感じた。

この対談は、安全で持続可能な農業の可能性を示す内容でした。

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Screenshot

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小名木:皆さんこんにちは。今、群馬県前橋市にある「ひふみ農園」にお邪魔しております。農園を運営しておいでの横堀さんからいろいろとお話を伺っていこうと思います。横堀さん、よろしくお願いします。
こちらで農園を開かれてから14年とお伺いしましたが、元々農業をしていらっしゃったのですか?

横堀:元々は普通のサラリーマンでしたし、農業の学校を出てるわけでもありません。

小名木:全然別な職業をしておいでで、農業のノウハウは、もともとはほとんど持っていらっしゃられなかった?

横堀:はい、まるっきり素人です。以前、東京の国分寺に十数年住んでいまして、その家で家庭菜園でキュウリ、トマト、ジャガイモなどを作っていました。そのときに「案外無農薬でも作物ができるな」というアタリがあって、2010年にこちらに親戚がおりましたので、その農場を借りて、農業を始めました。

小名木:農薬を使わないで栽培をするとなると、結構、虫が湧いたり、土がちゃんとできていなくて雑草に苦労されるという話を聞いたことあるのですが、その辺りはいかがでしたか?

横堀:虫には食われることは食われますね。ただいろいろとやり方があるのです。たとえば、春は早めに種を蒔くんです。2月の末から3月の頭頃ですと、まだ虫がいないのでその時期に野菜を大きく育ててしまうわけです。野菜が虫に食われて駄目になるのは、双葉が出て、芽がチョロチョロ出たあたりに食われますから。ですのである程度、10センチぐらいにまで育てておけば、あまり食われません。
春は早めに種を蒔き、秋は遅めに蒔くのです。今年も暑かったですね。以前は8月末頃に種を蒔いていたのですが、そうなると早い時期は虫がまだ活発ですので、今年は9月の20日ごろに種まきをしました。すると虫の活動がちょっと鈍くなってくるので、育てやすくなるんです。
これが大原則。もう一つは、虫がほとんどつかない野菜ってあるんですよ。長ネギとかのネギ類とか、春菊とか、人参と。ほうれん草やニンニクは、ちょっと虫がつきますが、虫もあまり食べたくないのでしょうね。人参は木アゲハの幼虫が付くのですが、それはかわいいから、そのままにしたりしています(笑)。
ですので、最初はまず春菊とかをやると良いかもしれません。葉物が一番難しいですね。小松菜、チンゲンサイ、水菜、大根。そういったアブラナ科の植物は、虫が、美味いのでしょうね。ですからそういうお野菜は、なるべく秋も遅くに植えます。そうすると育ちます。
その代わりちょっと出荷が遅れるのですが、それは仕方がないことです。農薬がいっぱいかかってるようなお野菜よりも、少し出荷遅れたとしても待っていらっしゃるお客様がたくさんおいでになりますし、それに自分でも食べますからね。

小名木:なるほどですね。健康に作られたお野菜を普段からいただくようになると、たまにそうでないものを食べたときに、劇的に体調を崩したりします。ちゃんとしたものをいただくと、おかしな食品に弱くなりますね。僕もまともなものをいただくようになってから、忙しくてやむなくコンビニのお弁当とかをいただくと、全身に蕁麻疹が出たりします。首から下真っ赤になるのです。

さていま、ビニールハウスの中で撮影させていただいているのですが、今日は外が風が強くて外がめちゃめちゃ寒いのですが、ビニールハウスの中って、入ったらものすごく温かいものなのですね。

横堀:天国ですね(笑)。このビニールハウスは日月神示の中矢伸一先生が14年前に作ってくだいました。そのときに農園の名前も「ひふみ農園」と付けてくださいました。農園は、ここが2反、600坪で、また別なところに8反の畑がありまして、全部で10反あります。

小名木:そんなに広い農園を、横堀さんおひとりでやってらっしゃるのですか?

横堀:いえいえ、息子とか、あとは前橋市内の障害者施設の方が週2回来て草取りなどのお手伝いをしてくださっています。

小名木:肥料はどのようなものをお使いになられているのですか?

横堀:土ができてれば、無肥料でもできなくはないですが、腐葉土とか、枯れ草の乾いたものでできます。それと中矢先生からご紹介いただいた浜松で作っている魚粉を用いています。魚の頭の部分や骨などの廃棄物を砕いて肥料にしたものです。それと同じく中矢先生からご紹介いただいた「π(パイ)ウォーターシステム」を使っています。

このあたりの農家では(全国はわかりませんが)、一反300坪に対して、農薬として牛糞を2トン入れるんです。けれどウチでは、魚粉を入れるにしても、一旦300坪に対して50キロぐらいしか用いません。これをおまじないみたいに、「ひふみよいむなやこと」なんて言いながら蒔くのですが、いっぺんに野菜が勢いづいちゃうのです。

小名木:πウォーターというのはどういうものなのですか?

横堀:そうですね。人間の細胞の中に含まれている細胞水に限りなく近い水を、1964年に名古屋大学の山下昭治農学博士が作られたのです。山下博士は、植物の花成現象の研究を通じて、二価三価鉄塩が植物の成長に重要な役割を果たすことを発見し、これを基にπウォーターを作られたんです。名前はπウォーターですが、人間の細胞水に近いものですから、当然人間に相性がいいわけですよ。
そのπウォーターを、3000倍に希釈して私も巻いてるわけです。

小名木:3000倍というと、πウォーター自体は、使う量はほんのちょびっとですよね。それで機能するのですか?

横堀:うん。よく育ちます。ウチはだから、最初っから、1年目から栽培がうまくいったんです。

小名木:すごいですね。無農薬農業を始められる方は結構おいでになるのですけれど、最初の1年目でうまくいかなくて、3年ほども頑張ったけれど、結局ダメでリタイアするケースをよく聞きますが、初年度からうまくいったって、すごいです。

横堀:2010年にうまくいって、2012年から野菜セット販売を開始したのです。だから苦労したというのがなくて、最初からうまくいってしまいました。ありがたいことです。

小名木:十数年農園のお仕事してこられて、「良かったな」って思えることって、どのようなことがありますか?

横堀:お客様もそうなのですが、やはり家族に「美味しい」と言ってもらえることですね。家族って、なかなか「美味い」とは言ってくれないものですから。辛口で正直なわけですよ。それが「美味しい」と言ってもらえる。このことが嬉しかったですね。もちろんお客さんもそうですけど。うん、やっぱり、一生懸命作ったものを女房が食べて「あら、これ美味しいじゃない」なんて言ってもらったら、そりゃ嬉しいですよ。

小名木:作っていらっしゃる作物は、ピーマン、ジャガイモ、長ネギ、玉ねぎ、白菜、大根、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、ブロッコリーなどとおっしゃられましたが、白菜やキャベツは、意外と栽培が難しいと聞くのですが。

横堀:はい。キャベツは、あのわりとうまく行きまして、というか毎年うまくいくんですけど(笑)、おっしゃる通り、なかなかうまくいく人が少ないって聞きますね。キャベツ畑は向こうに行けば見れますが、キャベツって結球しますでしょ?その結球の外の葉っぱは、いわゆるモンシロチョウの幼虫が食べるんですけれど、この幼虫たち、どういうわけか人間が食べるとこはほとんど食べないんすよ。畑に行ってみたらわかりますが、人間が食べるとことを食べないなら、いくら食われたっていいじゃないですか(笑)。だから虫は全部スルーです。無農薬栽培と言っても、虫を取って手で殺したり、それが嫌だからと農薬で殺したり、手で殺すか農薬で殺すかって、どちらも嫌じゃないですか。

小名木:その「中までは食べない」っていうのがすごいですね。僕がよく聞くのは、やっぱり中まで虫に入られてしまって苦労してるという話です。大体イモムシって、自分の体重の2万倍近い葉っぱを食べますから。

横堀:そんなに食べるんですか!

小名木:はい。めちゃめちゃ食いしん坊です。だから外側だけじゃなく、内側までどんどん食べちゃう。ところがこの農園では、虫が結球のなかまで入らずに、ちゃんと人間が食べる分を取っておいてくれる。それってすごいです。

横堀:先ほど申し上げたように、秋から冬にかけて育つものは、遅く種まきをする。そうすると虫がわく時期に結球しないんです。白菜は9月20日くらいに種まきをするのですが、そうするとだいたい70日ぐらいで結球しますので。

小名木:あちらのにピーマンが美味しそうに成っていますね。

横堀:はい。ちょっと作物の方に行きましょう。
このピーマンは、農薬がかかっていないので、洗わなくてもそのまま食べることができます。問題ないですから食べてみてください。

小名木:すごい!!美味しいです。苦味がすくなくて、なんと!甘い!まるでスイーツみたいです。

横堀:これ来週の収穫祭でもみんなに食べてもらうんですよ。すごく盛り上がります。
農薬の牛糞や鶏糞、あるいは化学肥料を入れると、作物の葉っぱの色が深緑になります。これは硝酸態窒素が非常に多いことによります。こうしたものを食べると、体内でニトロソアミンという猛毒の発がん性物質になります。
ところが、腐葉土とか枯れ草とか、そういう植物性の肥料で育てると、硝酸態窒素が発生しないので、小松菜やホウレンソウなどの葉っぱが、黄緑色っぽくなります。検査したら硝酸態窒素が市販のスーパーで売られているお野菜の4分の1でした。0ということはあり得ないので、ほぼゼロと言ってもいい値だと思います。

こちらは12月の頭に収穫するジャガイモです。このジャガイモは、もう12年ぐらい循環しています。ジャガイモ1個に対して8個から10個ぐらい採れるので、ほとんど出荷して、一個を残して、それをまた種芋にしてるんです。

小名木:あら、種芋代がかかっていないんですね。

横堀:俺があんまり忙しいんで、あまり草取りもしてないのですけど、ほったらかしでも、生姜とかは虫なんか見たことがありません。
ちょっと掘ってみましょう。

小名木:これはよくできた生姜ですね。

横堀:これは新生姜です。とてもプリプリしてますでしょう。これ後で召し上がってください。
ほら、根っこの方に、根生姜ができています。普通の生姜と根生姜という構成になっています。新生姜はお味噌をつけて食べてもいいし、甘酢漬けもいいですね。

ジャガイモは虫に食われませんから、無農薬栽培と言っても、ジャガイモは失敗しないですね。レタスも食われません。人参もほとんど食われないですよ。
大根は、遅く植えたので、まだちっちゃいですが。

小名木:あらあら、まだ抜いたらもったいないですよ。

横堀:いやいくらでもありますから(笑)後でも食べてみてください。全然味が違いますから。
こちら人参です。いい香りしますでしょう?私も最初びっくりしたんです。しかも結構鈴なりで。

小名木:すごい!鈴なりだ。本当だ。

※ お大根、翌日の朝食に、大根おろしでいただきました。もう味は辛味大根並みに辛いのですが、辛味大根と違って甘みもすごくあって、びっくりするほど美味しかったです。大根おろしは、普段はお醤油をかけていただくのですが、この大根は、なにもかけなくても、大根の味だけで満足できるくらい美味しかったです。こんな大根、初めていただきました。
帰りにいただいた生姜も、おろしていただきましたが、自然の辛さというか、これまたびっくりするくらい美味しかったです。

つくづく思ったのは、「昔の人は、いまよりずっと美味しいものをいただいていたのだな」と。「戦後生の私たちは、経済ばかりを追い求めて、人として大切なよろこびを、どこかに置き忘れて来てしまったのかもしれない」なんて思いました。