東郷潤先生は、豪州での体験から日本が世界で尊敬されている実感を語り、個人主義と対立の文化では平和は生まれないと指摘。日本の「和の心」こそ世界平和の鍵であり、日本人が誇りを取り戻し発信することの重要性を示しました。
日本への偏見と誤解を超えて──豪州で得た体験
東郷潤先生は1989年にオーストラリアへ渡り、そこで18年間生活されました。
豪州への出発前までは、「日本は戦争で侵略をした国だから、海外では嫌われているに違いない」という思い込みを抱いていたといいます。
しかし現実はまったく逆で、豪州ではむしろ日本人が好意的に受け入れられ、差別どころか逆に親切にされることが多かったのです。
戦争に関しても、現地の人々から非難されることはなく、
「あれだけの焼け野原から日本が復興したのはすごい」
と称賛されることが多かったと語られました。
この体験によって、子どもの頃に教育で植え付けられてきた「日本は悪い国」という洗脳が解け、日本文化への自信を取り戻すきっかけとなったのです。
個人主義と対立の文化が生む「戦争の必然」
オーストラリアでビジネスをする中で東郷先生が強く感じたのは、欧米社会に根付いた「個人主義=利己主義」の側面でした。
そこでは利害の衝突が前提とされ、人と人は常に「戦う存在」とみなされます。
法律や契約も、裁判で争うことを前提に作られており、信頼ではなく恐怖に基づいて社会が構築されていました。
この構造は、国際政治にも直結します。
国レベルで同じ「対立と戦い」の構造を展開するならば、戦争が頻発するのは当然の結果となります。
トランプ氏の掲げる「力による平和」も、この枠組みの中にあり、結局は対立の延長線上にあるだけだと指摘しました。
日本文化が示す「和」と「共鳴」の可能性
これに対して日本文化は、根本に「和」を大切にする精神があります。
相手の利益をも尊重し、信頼と誠実を基盤に取引や社会を築いてきた伝統です。
そこには「共震共鳴・響き合い」の感覚があり、力による平和ではなく「相互理解と相互信頼による平和」を目指す方向性が示されています。
海外の識者と話す中でも、「日本人の和の心こそ世界平和の鍵だ」と指摘されることが多く、日本が本来持つ文化を発信することの重要性を強調されました。
世界平和のために必要なこと──日本人の役割
東郷先生は、自らの活動の第一の目的は「日本の独立」以上に「世界平和」であると述べました。
そして、その実現のためには
「日本人が外向きになり、
自信を取り戻し、
日本文化を学び直して世界に発信すること」
が不可欠だと強調しました。
一方で、アメリカはむしろ内省を深め、自らの行動を反省する必要があるといいます。
つまり、日本人には外向きの発信が、アメリカ人には内向きの省察が求められているのです。
GHQの封印を超えて
戦後の教育や言論統制によって、日本文化は「軍国主義の象徴」とされ、否定的に扱われてきました。
しかし、実際にはその文化こそが世界平和の核になりうるものだと東郷先生は強調します。
80年間封印されてきた「和の心」や「結びの文化」を解き放ち、世界の基準にしていくことが、これからの人類に必要な道筋なのです。
結び
今回の対談では、日本文化が持つ「和」の精神が、単に日本人のためではなく、世界全体の平和の基盤となりうることが語られました。
外に出てこそわかる日本の価値。
内に籠められてきた80年を超えて、日本人が誇りをもって文化を発信することが、まさに人類の未来を切り拓く道であると確信させられます。
