バレンタインデーは、3世紀ローマの聖バレンタイン司祭の殉教が起源。
中世ヨーロッパで「愛を誓う日」となり、近代では商業化。
日本では1950年代にチョコ文化が定着。
世界各国で異なる風習を持つこの日の歴史を深掘りします。

  1. バレンタイン司祭の殉教とローマ帝国の結婚禁止令

バレンタインデーの起源は3世紀のローマ帝国に遡ります。当時、ローマ皇帝クラウディウス2世は、若者の結婚を禁止していました。その理由は、結婚した兵士は士気が下がり、戦争での忠誠心が揺らぐと考えられていたためです。

しかし、聖バレンタイン という司祭は、愛し合う若者たちの結婚を秘密裏に執り行いました。この行為が発覚し、彼は皇帝の命に背いた罪で処刑 されます。その日が 2月14日 であり、後に彼の殉教を悼む日として記憶されることになりました。

この出来事をきっかけに、聖バレンタインの名は「愛の守護者」として語り継がれるようになります。しかし、当時は「恋愛の記念日」ではなく、キリスト教圏でバレンタイン司祭を偲ぶ日 でした。

  1. 中世ヨーロッパでの変遷 – 「愛を誓う日」への発展

時代が進み、中世ヨーロッパでは 「2月14日は鳥が求愛を始める日」 という俗信が広まりました。これに影響を受け、次第に「恋人同士が愛を誓い合う日」としての意味合いが強くなっていきます。

特に 騎士道文化が発展した12世紀〜15世紀 にかけて、宮廷では恋人たちが手紙を贈り合う風習が生まれました。これがバレンタインカード の原型とも言われています。

また、当時のヨーロッパでは 「恋愛を貴ぶ文化」 が育ちつつあり、バレンタインデーは「愛を表現する日」として確立されていきました。しかし、この時点ではまだチョコレートと結びつくことはありませんでした。

  1. 近代の商業化 – バレンタインカードとチョコレート文化

19世紀のイギリス では、バレンタインデーに恋人へカードを贈る文化が定着しました。
産業革命による印刷技術の発達で、大量生産された「バレンタインカード」 が販売されるようになり、一気に普及しました。

その後、20世紀に入るとチョコレート業界が商機を見出します。
「甘いものは愛情の象徴」とされ、恋人への贈り物としてチョコレートが定着 しました。特にアメリカでは、男性が女性に贈る文化が一般的でした。

一方で、日本にこの文化が入ってきたのは1950年代 になってからです。森永製菓が「女性が男性にチョコを贈る日」として宣伝したことがきっかけ でした。その後、1970年代になると、この習慣は全国的に広まりました。

日本独自の「義理チョコ」「友チョコ」文化も誕生し、バレンタインデーはさらに多様化していきます。

  1. 世界のバレンタインデー – 国による違い

バレンタインデーは世界中で祝われていますが、国によって大きく文化が異なります。

🔹 欧米(アメリカ・イギリス・フランス)
・男女ともに贈り物を交換する文化
・カードや花、チョコレートを贈るのが一般的
・恋人だけでなく、家族や友人にもプレゼントを渡す

🔹 韓国
・日本と同じく、女性が男性にチョコを贈る
・4月14日は「ブラックデー」と呼ばれ、バレンタインデーに恋人ができなかった人がジャージャー麺を食べる風習がある

🔹 中国
・バレンタインデーはあるが、旧暦の七夕(七夕情人節)のほうが盛大に祝われる

日本のバレンタインデーは、世界的に見ると独自の形で進化を遂げており、「女性が男性にチョコを贈る文化」は非常に珍しいといえます。

  1. まとめ – バレンタインデーの意義

バレンタインデーは、ローマ時代の殉教者を悼む日 から 「愛を誓う日」 へと変化し、さらに近代では 商業化されたイベント へと進化しました。

しかし、その本質は 「大切な人に想いを伝えること」 にあります。
日本独自の「チョコレート文化」も面白いですが、バレンタインデーの本来の意味を知ると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。

みなさんにとっての バレンタインの思い出 は何ですか?

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