偏差値40から早稲田に合格した与那嶺先生が、日本の教育の課題と自身の経験を語ります。子供たちが未来に希望を持てない現状や、勉強法の工夫で劇的に成績を上げた過程を明かします。教育産業化への批判と自己成長の重要性を訴える対談です。

現代教育が奪う子供たちの希望

対談は、日本の現代教育が抱える深刻な問題から始まります。
与那嶺隆之先生は「今の子供たちは未来に希望や明るいイメージを持てていません」と指摘し、教育業界が単なる「教育サービス」に成り下がっている現状を批判します。
かつての教育は良い大学、良い就職へと続く明確な道筋を示していましたが、現代では企業が倒産するリスクや社会の不安定さが増し、子供たちが将来を描きにくくなっています。
特にコロナ禍で人間関係の構築が苦手になった生徒も増え、「社会でやっていけるのか」という不安が勉強の妨げになっていると語ります。
この環境下で、受験勉強は単なるゴールではなく、自己成長の第一歩として捉え直す必要があると強調されます。
与那嶺先生自身の経験がこの問題に光を当てます。
高校時代は偏差値40で、勉強せずにゲームや漫画に明け暮れていた彼が、早稲田大学を目指すきっかけは偶然訪れた勉強法の本との出会いでした。そこから彼は「頭の良さではなく、戦略と工夫が成績を上げます」と気づき、1年で偏差値を30以上もあげて合格を勝ち取りました。この実体験から、現代の子供たちにも「環境や方法次第で変われます」という希望を伝えたいと語ります。

偏差値40からの逆転劇:勉強法の工夫

与那嶺先生の受験勉強は、基礎からのやり直しと環境整備が鍵でした。英語が全く分からなかった彼は、中学英文法の教科書を音読するところから始め、挫折しないレベルで少しずつステップアップします。1ヶ月で2000語の英単語を覚えた経験が自信となり、「頑張ればいい大学に行ける」と希望の光を見出しました。また、学習机に漫画が溢れていた環境を見直し、全て片付けて集中できる空間を作ります。これにより、意志薄弱だった自分でも勉強習慣を築けたと振り返ります。

この過程で気づいたのは、「勉強は才能ではなく方法論です」という事実です。
ゲームに20時間集中できた集中力を勉強に転用し、習慣化の工夫を重ねました。例えば、誘惑を排除し、簡単なことから始めて「わかる」を積み重ねることでモチベーションを維持しました。
こうしたアプローチが、受験生指導でも「どんな子にもできる方法があります」という信念に繋がっています。
特に現代の子供たちが抱える集中力や継続力の欠如に対し、過去の自分と同じ苦労を理解しているからこそ、根性論ではなく環境調整や小さな成功体験を重視した指導を行います。

大学受験を超えた人生のスタートライン

対談の核心は、「大学受験はゴールではなくスタートラインです」というメッセージです。
与那嶺先生が指導する塾「Mr.ステップアップ」では、合格後も勉強を続ける生徒が多いことに驚きが語られます。
受験終了後も参考書を開き、大学生活に向けた準備を進める生徒たちの姿は、勉強が習慣化し、自己成長への意欲が育まれた証拠です。
これは、単に合格実績を誇る教育産業とは一線を画す姿勢であり、「大学に入れば何とかなります」という甘い言葉に頼らない教育の重要性を示しています。
現代では、良い大学や就職が人生の安定を保証しない時代に突入しています。
一方で、「風の時代」と呼ばれる個人が輝く社会では、自ら道を切り開く力が求められます。
与那嶺先生は、過去の失敗や傷つきを自己成長の糧に変えた経験から、受験を通じて「自分を好きになる」ことの大切さを説きます。
特に心が折れやすい生徒には、過去のトラウマを手放し、再解釈することで前向きになれるよう導きます。こうして受験は、単なる学力向上を超え、人生を切り開く試練として位置づけられます。

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