石破おろしは、実務を伴わない「口先だけ」の運動でした。署名も根回しもなく、石破総理に辞める意思もゼロ。ネット論調と現実政治の落差を具体的に解説しました。
石破おろしは「実務なき幻想」だった
今回の対談の大きなテーマは、「石破おろし」と呼ばれた一連の動きの実態です。多くの政治評論家やネット論客が「石破総理退陣論」を盛んに唱えましたが、小坪慎也先生は「石破おろしは失敗した」と明言されました。理由はシンプルで、必要な手続きを踏まず、実務的な裏付けが一切なかったからです。
自民党の総裁を退陣させるには、党則に定められた手続きが必要です。署名の収集や地方県連との調整も不可欠です。しかし実際には署名も集められず、地方組織への根回しも行われませんでした。単に「辞めろ」と叫んだだけでは何も動かないにもかかわらず、そこを怠ったことで、最初から失敗は決定していたのです。
小坪先生は、「口で言っただけの先生方」「ネットでバズりたいだけの論客」がもてはやされる一方で、現実の政治を動かすために汗をかく人間が不在だったことに強い失望を表明されました。
「石破総理は辞めない」という現実
もう一つの重要なポイントは、石破総理本人の姿勢です。石破氏は「辞める気がゼロ」であり、強い執念を持って政権にしがみついていると指摘されました。小坪先生は、大学受験で何度も浪人してようやく合格した人が、わずか数ヶ月で退学届を出すだろうかという比喩を用い、そのしがみつきの強さを説明されました。
自民党の総裁は「社長」に例えられる立場であり、単なる多数決や声の大きさで解任できるものではありません。安倍政権時代や麻生内閣の例を挙げながら、総裁を降ろすには必ず署名と県連の同意が必要であり、これを省略することは制度的に不可能だと強調されました。
さらに、石破氏の退陣を求めるには「次の総裁は誰か」「どの政党と連立を組むのか」といったシナリオを明示しなければなりません。その準備も全くなされていませんでした。大阪では維新との連立は受け入れられず、四国では国民民主との連携に難しさがあるなど、地方事情を踏まえた現実的な調整が不可欠なのです。
ネットと現実の乖離、そして私の考え
今回の議論から浮かび上がったのは、ネット上の盛り上がりと現実政治との大きな乖離です。SNSやYouTubeでは「石破退陣!」と声高に叫ぶ人々が注目を浴びましたが、その多くは現実の力を持ちませんでした。むしろ、彼らの無責任な発言が地方組織や国会議員に迷惑をかけ、逆に石破政権を延命させた可能性すらあるのです。
小坪先生は、「制度を知らないネット論客や保守層は、ちょろい存在だと侮られている」と警鐘を鳴らされました。新聞社やインフルエンサーがセンセーショナルな見出しで注目を集める裏で、肝心の実務が何も進まないまま政局が空転する現実は、大きな問題です。
全体のまとめ
石破総理退陣論がなぜ失敗したのか――その答えは「実務なき幻想」だったからです。「辞めろ」と叫ぶだけではなく、手続きを踏み、次の道筋を示さなければ現実政治は動きません。ネット上の盛り上がりと現実の落差を知ることは、私たちが未来に向けて政治を考える上で非常に重要だと思います。
