地元で集めた税金が地元に還元されず、外部に流出している現状を打破するため、町が自ら稼ぎ、守り、活かす新しい行政の姿が必要です。田子町の具体的な取り組みと、自治体主導による未来づくりを語ります。


◉ 町の税金が“町”に還らないという矛盾

今回の対談では、千葉県香取郡田子町の町議会議員であり、現役の大規模農家でもある宇井伸征先生をお迎えし、地方行政の新しい形について語りました。
宇井先生が強く問題視しているのは、「町の税金が町の外に流れてしまっている」という現実です。

行政の施策を考える際に、町の外のコンサルティング会社へ何千万円ものお金が流れている一方、町内の事業者に対する補助金はほんのわずか。この不均衡が町の活力を奪い、人口減少や地元経済の衰退に拍車をかけています。

農業者の視点からも、減反政策や流通体制の問題により、国産米の供給力が弱まっていることが指摘されました。今や「海外から輸入すればいい」という安易な解決策がとられがちですが、それはさらに富を国外に流す構造を強めるだけ。根本的な見直しが求められています。

◉ 「町が稼ぐ」時代へ──ふるさと納税の可能性と改革案

宇井先生は、町が自ら収益を上げていく仕組みの構築が急務だと語ります。その具体的な一例が、「ふるさと納税」の活用です。地元産品の販売を促進し、町として通販のような収益モデルを実現することで、年間55億円を超える収益を上げた例も紹介されました。

さらに、町内でお米などの農産物を買い取り、冷蔵施設で備蓄しながら、災害対策と収益の両立を図る案も提案されました。これはまさに仁徳天皇の「無税の御蔵」にも通じる、日本らしい備えの精神です。

町が自ら収益を生み、そのお金を町内に還元する──これが“逆輸入”の時代を生き抜く自治体の生存戦略となるのです。

◉ 対立ではなく「話し合い」──日本の行政が目指すべき姿

日本の伝統文化は、「議論」よりも「話し合い」を大切にしてきました。宇井先生は、町民・農家・役所の職員・政治家が対立するのではなく、目的に向かって話を合わせ、力を合わせることが必要だと語ります。

地方自治体では、どうしても長年在籍している職員の意見が主導権を握りがちですが、本来の民主主義は、民間の声を行政に届け、現場と行政がともに町を作り上げていく仕組みであるべきです。

町の未来は、選挙で選ばれた政治家任せではなく、町民一人ひとりが「声をあげ、方向性を示す」ことで、よりよい行政へと進化していきます。宇井先生はそのモデルケースとして、自らの情熱と行動力で地域づくりを実践しています。

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町の行政が変われば、日本の国柄も変わる──
今こそ、地域からはじめる未来づくりに目を向けてみませんか?

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