外国人が脱退一時金を受け取って再入国し、生活保護を申請するという制度の抜け道に、小坪慎也氏が長年取り組み法改正へと導きました。その詳細と背景、地方財政への影響、今後の課題を語ります。

◉ 法改正の核心──脱退一時金と再入国許可の関係
今回の議論の中心は、外国人が年金制度から「脱退一時金」を受け取りつつも、再入国許可により再び日本へ戻り、将来的に生活保護を受けられるという制度上の“矛盾”です。
小坪慎也氏は、この制度の抜け道が地方自治体の財政を圧迫していると警鐘を鳴らし、長年にわたる議会質問と資料提出を重ねた結果、法改正に向けた重要な一歩を実現させました。
改正案では、
「再入国許可付きで出国した者には脱退一時金の請求ができない」
という、たった一行の条文が導入されましたが、この「止血措置」は非常に大きな意味を持ちます。

◉ 生活保護への影響と地方財政の危機
日本において生活保護を受けられる外国人は限られた在留資格者(永住者・定住者など)に限られていますが、脱退一時金を受け取ったうえで再入国し、資格変更によって生活保護を受けられるケースが多発していたのです。
これまでに10年間で約72万件の脱退一時金が支給されており、仮にそのうちの一部が生活保護を受けた場合、最大で年間1兆円規模の財政負担になると試算されました。
この事実は、単なる制度の問題ではなく、地方自治体にとって「破綻しかねない」深刻な課題として受け止められ、国会での議論にも大きく影響しました。

◉ 見えない努力とネットを超えたリアルの力
この法改正に至るまで、小坪氏を中心に全国の議員や有志が漫画冊子の制作・ホチキス留め・郵送など、地道な実務を重ねました。その費用は少なくとも300万円以上。
保守系メディアが報道できないほど制度が複雑で、誤報が許されないため、週刊新潮のみが的確に取り上げたという現実も紹介されています。
また、制度を変えるには「憤り」や「主張」だけではなく、数字と構造の把握が不可欠であり、「財務省が痛みを感じるほどの財政的影響」が明示されて初めて、改革のテーブルに乗るというリアルな政治の動きも詳しく語られました。

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