1987年の日米摩擦とソ連崩壊戦略に学び、現代の対中制裁を読み解きます。日本が戦略を持たなかった場合の未来と、戦略的自立に向けた「三つの提案」をお伝えします。

◉ 対中制裁の構造はソ連崩壊戦略と「そっくり」だった

1987年、アメリカは日本の半導体協定違反を理由に、日本のパソコンなど3品目に100%の報復関税を課しました。当時はレーガン政権下。表面的には日本への制裁でしたが、その裏にはソ連に対する戦略的な軍事・経済封鎖が進められており、結果としてソ連は崩壊しました。

この「構造」と極めて似た動きが、現在のアメリカによる対中制裁でも展開されています。関税の強化、技術封鎖、情報戦、軍事的圧力──これらはソ連を崩壊に導いたのと同じ「手筋」です。

アメリカは中国を、経済・技術・世論・軍事の各側面から追い詰めようとしています。事実、チャイナ海軍は分断され、ファーウェイの部品調達も遮断されています。さらに、価値観の揺さぶりによって、国内不満が蓄積し始めています。

◉ 戦略を持たなかった国は「消える」──歴史に学ぶ警鐘

このような米中激突の構図の中で、問われているのが「日本の戦略的自立性」です。

戦略を持たなかった国家はどうなるのか?──歴史は答えています。
1 ポーランド:大国に挟まれ、戦略を欠いたため、18世紀に3度の分割により国が消滅(123年間)。
2 清朝(中国):欧米列強の近代軍事戦略に対応できず、内部崩壊と分割へ。
3 オスマン帝国:近代化に失敗し、第一次大戦で崩壊。
 李氏朝鮮:戦略を持てず、日韓併合で滅亡。
5 大日本帝国:軍事力も民度も最高だったが、「戦略不在」により国家を失う。

つまり「戦術の巧拙」ではなく「戦略の有無」が国の生死を分けるのです。現代日本は、これらと同じ轍を踏んでいないでしょうか?

◉ 戦略的自立のために「三つの柱」を

では、日本はどうすれば戦略的に自立できるのか。以下の3つが重要です。
(1)日本という国の「共通ビジョン」を再定義する
 • 日本の存在意義を国民一人ひとりが共有する。
 • 「和」「命」「共生」など、精神的な柱を再構築する。
 • 政治家任せにせず、市民・知識人・教育者・文化人が率先して育む。
(2)地方から変える
 • 北海道は「食料安全保障の要」、沖縄は「アジア外交のハブ」。
 • 広島・長崎は「世界平和の象徴」、奈良・出雲・宮崎は「精神文化の源泉」。
 • 地域が自らの強みを発信し、国家戦略と結びつける。
(3)考える国民を育てる
 • 戦略的自立は、考える力を持つ国民によって支えられる。
 • 情報空間での発信、教育活動、対話を通じて“新しい志士”を育成する。
 • 倭塾での活動は、まさに令和維新の「教育活動」であり、新しい時代の「柱づくり」です。

日本の戦略的自立には、皆さん一人ひとりの思索と行動が欠かせません。歴史に学び、希望の未来を築くために。
「令和維新」はすでに始まっています。

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