8月4日「箸の日」にちなみ、日本文化とその精神性を語りつつ、映画『東京MER』をきっかけに天明の浅間山大噴火の歴史に迫ります。鎖国の真実や、技術の平和利用に見る日本的価値観など──、いま私たちが見つめ直すべき“日本らしさ”に満ちたライブです。

● 「東京MER南海ミッション」に見る日本的価値観──共に生きる、助け合うということ

今回のライブでは、上映中の話題作『東京MER 南海ミッション』を取り上げ、その感動の核心に迫りました。
この映画は単なるパニック・アクションではありません。日本的な「共助の精神」が全編を貫いています。

登場人物たちは、互いに信頼し合い、衝突や意見の違いがあっても、最後には心をひとつにして人々を救おうと奮闘します。そこには「共震・共鳴・共生」という言葉がぴったり当てはまります。
個人主義を超え、絆を重んじる日本文化の姿が、スクリーンいっぱいに広がっていたのです。

そして話題は、映画と同じく“火山噴火”へ──
実は今日、8月4日は、歴史に残る大噴火が日本で発生した日でもあるのです。

● 天明の「浅間山大噴火」と世界史を動かした火山──1783年8月4日、地球が震えた日

1783年(天明3年)8月4日──
長野県佐久郡の浅間山が大噴火を起こし、火砕流と溶岩流が山麓の村々を襲いました。
特に群馬県嬬恋村・鎌原地域では、村の人口の約8割が犠牲となり、集落そのものが壊滅するという悲劇が起きました。

さらに、軽石や火山灰は関東一円に降り注ぎ、吾妻川や利根川へと「火山泥流(ラハール)」が流れ込みます。
この泥流は時速100km以上──まさに逃げ場のない黒い津波のように、町を飲み込んでいったのです。

しかもこの年、アイスランドのラキ火山も噴火し、地球の裏側からも大量の火山灰が大気に放出されました。
成層圏を覆うほどの噴煙が太陽光を遮り、日照不足と冷夏を引き起こし、世界規模での大飢饉へ。
日本では「天明の大飢饉」が発生し、そしてフランスでは「革命」の引き金となっていきます。

・・・火山の噴火は、決して一国の災害ではありません。
それは、世界史を揺るがす大事件となることがあるのです。

● 鎖国とは何だったのか?──「十把一絡げ」ではない、日本的外交の知恵

同じ8月4日、もうひとつ歴史的に重要な出来事がありました。
それは1639年(寛永16年)の「第5次鎖国令」の発布です。ポルトガル船の入港が禁止され、江戸幕府による鎖国体制が完成しました。

しかし、ここで大切なのは──「鎖国」という言葉や「藩」「天領」といった用語は、実はすべて明治以降の“講学用語”であり、江戸時代の人びと自身は使っていなかったという事実です。

江戸幕府の外交政策は、一括処理ではありませんでした。
それぞれの事例に対して、慎重に、誠実に、個別具体的に対応していたのです。

この姿勢は、現代の移民政策や外国人問題にも通じます。
「可哀想だから例外を設ける」でもなく、「すべて拒否する」でもない。
必要なのは、命を守る“理性”と、社会を守る“覚悟”──つまり、政治の責任なのです。

● 平和国家・日本の技術観──火薬も鉄も、すべては人を活かすために

終盤では、日本独自の「技術の使い方」に話が広がりました。

たとえば火薬
世界では兵器に使われるこの物質を、日本では花火や線香花火として、平和の象徴に変えました。

またドローン
諸外国が軍事利用を進めるなか、日本では花火大会での大規模演出に活用され、夜空に光の物語を描いています。

日本刀のあの高度な刀鍛冶の技術は、実は「鍬(くわ)」の改良から始まったのです。
硬さと柔らかさを併せ持つ刃は、農具としての使いやすさを追求する中で生まれ、それが後に“武器”へと転じていきました。

──日本では、技術とは「争うため」ではなく、「命を守り、暮らしを豊かにするため」のものでした。
そこにこそ、日本人の美徳と智慧が宿っているのです。

💮感謝と結び

今回のライブは、映画をきっかけに、日本の歴史・文化・思想がぎゅっと詰まった濃密な時間でした。
単なる娯楽を超えた感動があり、過去の災害から現代の社会課題に至るまで、深い学びがありました。

“共に助け合い、支え合い、響き合う”──
この日本らしい生き方を、これからも忘れずに歩んでいきたいですね。

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