先日、歌手のsayaさんに倭塾にお越しいただき、歌と講話をご披露いただきました。
sayaさんは、とても歌唱力のある歌手の方で、会場で「君が代」を歌っていただいたのですが、その歌の素晴らしいこと!
これまで、最高の「君が代」の歌唱は、甲子園球場で、当時女子高生だった野々村彩乃さんが歌った「君が代」が最高と思っていたのですが、sayaさんは、あっという間に、筆者の中での一位の座を奪い取ってしまいました(笑)。
そのsayaさんから、教わったお話ですが、日本の和歌は「五七五七七」の合計31文字(みそひともじ)で歌われているけれど、もともと和歌は本当に「歌」であって、この31文字をおよそ3分半かけて歌ったのだと教わりました。
たとえば日本最初の和歌といえば、スサノヲの有名な歌、
八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに
八重垣つくる その八重垣を
ですが、これを大自然の奥出雲の山々を眼下に、スサノヲのミコトは、朗々と歌い上げていたわけです。
すると、謳いは、
「やぁ〜〜〜くぅ〜〜〜もぉ〜〜〜〜〜たぁ〜〜〜〜〜つぅ〜〜〜〜〜」
となります。
「やぁ」は、「ya」で、子音の「y」と、母音の「a」が組み合わさった音ですが、
このように謳うことで、子音の意味が常に母音で補強されるわけです。
カタカムナで、母音の「a,i,u,e,o」は、それぞれ以下の意味になります。
あ 感じる生命
い 伝わるもの
う 生まれ出る
え 移る
お 奥深い
これに子音が加わることで、「やぁくぅもぉたぁつぅ」は、
やぁ 満ちる、感じる
くぅ 引寄せ、生れる
もぉ 漂う 、奥深い
たぁ 別れる、感じる
つぅ 集まる、生れる
となり、組み合わせると次の意味になります。
「いま、力が満ち引き寄せられて新しい力が生まれようとしている。
それは奥深いところから別れ、漂い、集まり、生まれてくるのだ」
スサノヲは、妻のお腹に我が子が宿ったと知ったときに、この歌を謳いました。
「やへがき」に囲まれた場所とは、幸せの力とエネルギーが、縁までいっぱいに、ぎっしり詰まった場所です。
その幸せの場所を、スサノヲは、妻とお腹の子に与えています。
男子は働いて仕事して、女子を幸せにするのです。
女子は幸せの中で神々とつながり、この世界に愛をもたらすのです。
朗々と歌い上げて、その喜びを表現したのです。
これこそが、日本男児の姿であり、大和をのこの理想的姿だとして、縄文以来のスサノヲの歌が、以後の我が国の和歌の文化となっていきました。
実際に、この31文字を3分半かけての謳いは、やってみるとわかりますが、一音ごとに、音が魂を震わせます。
なるほど、歌というのはこういうものだ、と体感できます。
現代でも、演歌などの歌謡曲は、一曲が3分半です。
つまり古代からの知恵は、形を変えていまも生きているのです。
sayaさんのHP https://saya-ohgi.jp/