過去は変えられない。他人の心も思いどおりにはできない。けれど、その現実にどう向き合い、これからどう生きるかは、自分で選ぶことができます。大切なのは、変えられないものと戦い続けることではなく、自分の人生の舵を自分で握ること。戦国武将・山中鹿介の生き方を手がかりに、「姿勢」がRelationを変え、未来を動かしていく、その小さくも大きな力について考えます。

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変えられないものに力を使い続けるより、自分がどうありたいかを選ぶ。その姿勢から、未来は少しずつ動きはじめる。
1 世の中変えられないものばかり
私たちの暮らしには、自分の力だけでは変えられないものがたくさんあります。
そもそもいまの情況を変えるって、かなりむつかしいことだし、過去の経験は変えられない。
これまでの経緯(いきさつ)だってあるし、いまさら代替も出来ない。
周囲の人の考え方や気持ちは自分ではどうしようもないし、社会の動きなんて、なかなか思いどおりにはいかないものです。
それに、突然の病気や災害、どれほど願っても戻すことのできない時間。
まさに「世の中、変えられないものばかり」です。
だからそんなときに、
どうしてこうなってしまったのだろう。
相手が気持ちを変えてくれさえすれば。
昔に戻ることができたなら、などと考えてしまうのは、ごく自然なことです。
考えることは大切です。
けれど、考えてもどうにもならないものを、いつまでも引き摺ったところで、結果は自分が動けなくなってしまうだけです。
では、どうしたらよいのでしょうか。
2 自分の姿勢を自分で選ぶ
いまどきはネット社会ですから、見えない相手から心無い中傷を受けることもあります。
陰口、なんてのもありますよね。
腹が立つこともあるでしょう。
悲しくなることもあるでしょう。
言い返したくなることだってあります。
けれど、相手が何を言ったかという事実は、もう変えることはできないものです。
裁判が必要な場合もありますが、裁判で勝ったとしても、言われた事実そのものが消えるわけではありません。
しかも、時間も労力も費用もかかる。
いや、これ、ホントです。経験者は語る、です(笑)。
だけど、1円もかけずにできることがあります。
それが、**「これからどう向き合うかを、自分で選ぶ」**ことです。
相手を憎み続けることもできます。
距離を置くこともできます。
考えることもできます。
異議を唱えることもできます。
だけど、たったひとつ、こう問いかけることもできます。
「この出来事のあと、自分はどういう人間でありたいのだろう」
ここで大切なことは、ただ我慢することではありません。
理不尽なことには、理不尽だと声を上げてよいし、自分や大切な人を守るために、離れることが必要な場合もあります。
それだって、怒りや悲しみに自分の人生の舵を預けるのではなく、これからの自分のあり方を、自分で選んだことになります。
その結果がどうなるか。
その責任を自分で引き受ける。
その覚悟が定まれば、選択権は自分にあります。
それが、人の持つ「姿勢」です。
3 姿勢が変わると関係が変わる
人と人との関係は、相手の態度のせいばかりではありません。
こちらがどのような姿勢で向き合うかによっても、関係のあり方が変わります。
相手を責めることばかり考えていれば、相手だって身構えます。
相手を理解しようとすれば、これまで見えなかった事情が見えてくるかもしれません。
こちらが姿勢を変えたからといって、相手が変わるとは限りません。
世の中には、どれほど誠実に向き合っても、通じ合えない相手もいます。
けれど、相手が変わらなくても、自分と相手との関係の持ち方は、自分で変えることができます。
適切な距離を保つ。争うのではなく必要な境界を設ける。
過去に縛られるのではなく、これからの暮らしを大切にする。
自分の姿勢が変わることで、Relation(関係性)のあり方も変わっていきます。
関係のあり方が変われば、そこから生まれる未来もまた、違ったものになっていきます。
4 未来は、姿勢から動きはじめる
ここで、ひとつ考えてみたいことがあります。
問題が起きたとき、私たちはしばしば、「何が悪かったのか」「誰が悪いのか」を考えます。
けれど、原因がわかっただけでは、明日の暮らしが良くなるとは限りません。
大切なのは、その先です。
「では、これからどうしよう」
ここに出口設計(Exit Design)があります。
観測点を、過去から未来に変えるのです。
理由は単純明快です。
過去を裁くことと、未来をつくることは、同じではない。
過去について、どれほど正しい説明ができたとしても、それだけでは新しい未来は生まれません。
未来をつくるためには、これから何を大切にし、誰とどのように結ばれ、どのような暮らしを実現していくのかを考え行動する必要があります。
そして、その出発点にあるのが、自分自身の「姿勢」です。
自分がどうありたいのか。
勝ちたいのか。
言い負かしたいのか。
それとも、これからの暮らしを、少しでも良いものにしていきたいのか。
どの未来に向かって舵を切るかによって、今日の言葉も、今日の行動も変わってきます。
未来は、ある日突然、大きく変わるものばかりではありません。
昨日まで言い返していた言葉を、今日は少しだけ飲み込んでみる。
これまで避けていた相手に、穏やかに挨拶してみる。
誰かを責める代わりに、いま自分にできることを一つ始めてみる。
そんな小さな選択の積み重ねが、やがて大きな違いを生んでいきます。
一日たった1分の違いでも、それが4年間積み重なれば、ほぼ丸一日分の違いになります。
小さな違いも、積み重なれば大きな違いになる。
人の姿勢も、同じです。
今日のほんの小さな選択が、1年後、5年後、10年後には、まったく違う人生をつくっていきます。
5 今日、自分はどうありたいか
変えられないものは、無理に変えない。
ただし、変えられないことと、何もできないことは違います。
昨日書いた記事のように、壁を壊すことだけが、未来を変える方法ではないのです。
過去は変えられなくても、過去から学ぶことはできる。
他人の心は変えられなくても、自分の向き合い方は選ぶことができる。
世の中のすべてを思いどおりにはできなくても、自分が今日何をするかは選べます。
その小さな自由が、自立の始まりです。
自立とは、誰にも頼らず、一人で生きることではありません。
自分で「選んで」、人と「結ばれ」ることです。
だからこそ、今日という一日を始めるとき、こんな問いを持ってみたいものです。
「今日、自分はどうありたいだろう」
やさしくありたい。
誠実でありたい。
穏やかでありたい。
困っている人に手を差し伸べられる人でありたい。
答えは、人それぞれです。
大切なことは、誰かに決めてもらうのではなく、自分で選ぶこと。
変えられないものを見つめ続けるより、これからの自分の姿勢を選ぶこと。
そこから、未来は少しずつ動きはじめるのだと思います。
「願わくは我に七難八苦を与えたまえ」
戦国武将の山中鹿介が、三日月に祈ったと伝えられる言葉です。
これは、どのような苦難に遭おうとも、自分の生き方を自分で選び、その責任を引き受けようという覚悟の言葉として読むことができます。
鹿介の人生は、まさに七難八苦でした。
けれど、その名は後世に残りました。
さらに、鹿介の子と伝えられる山中新六幸元は、のちに鴻池で酒造りを始め、そこから豪商・鴻池家へとつながる歴史が生まれました。
人は、自分の未来をすべて思いどおりにすることはできません。
けれど、自分がどのような姿勢で生きるかは選ぶことができます。
そして、その姿勢が、思いもよらない未来へと結ばれていくこともあるのです。
——今日も良い一日を♪

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