未来を良くしたい。そう願うとき、私たちはつい、自分が何をするか、誰を変えるか、どんな制度を変えるかを考えてしまいます。けれど、未来は誰か一人の力だけでつくられるものではありません。大切なのは、誰と、どんな「あいだ」をつくるのか。相手を支配するのでも、相手に従属するのでもなく、それぞれが自立した存在として、新しい可能性を生み出していく。今回は、親子関係から国家の未来まで、Relationという視点で考えてみます。

今日のひとこと・未来は、一人の力だけではつくれない。誰と、どんな「あいだ」をつくるのか。そのRelationが、未来の形を変えていく。

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未来は、一人の力だけではつくれない。誰と、どんな「あいだ」をつくるのか。そのRelationが、未来の形を変えていく。

1 未来は、誰がつくるのだろう

私たちは、未来を考えるとき、どんな努力をしようか、何を学ぼうか、どんな仕事をしようか、どんな目標を立てようかなど、つい「自分が何をするか」を中心に考えてしまいます。
もちろん、どれも大切なことです。

けれど、少し考えてみてください。
どれほど優れた才能を持っている人でも、その人が一人きりで、社会の未来をつくることができるでしょうか。

たとえば、どんなに腕の良い料理人であっても、
食材を育てる農家がいて、魚を獲る漁師がいて、それを運ぶ人がいて、料理を食べてくれる人がいなければ、料理という仕事は成り立ちません。
優れた教師がいても、学ぶ子供たちがいなければ教育は成立しません。
素晴らしい技術を発明した人がいても、その技術を使い、改良し、次の世代へ伝える人がいなければ、技術は社会の力になりません。
つまり、どんなに優れた個人であっても、その力が未来につながるためには、必ず誰かとの「あいだ」が必要になるのです。

ここに、Relationという考え方の大切さがあります。

2 同じ二人でも、未来は変わる

たとえば、親子の関係を考えてみましょう。
子供が何かに挑戦して、失敗したとします。
そのとき親が、
「だから言ったでしょう。あなたには無理なのよ」と言ったら、どうなるでしょうか。
子供は、次に何かをしようとするとき、失敗を恐れるようになるかもしれません。

反対に、「うまくいかなかったね。でも、どこを変えたら次はできるかな?」と声をかけたら、どうでしょう。
子供は、失敗を終わりではなく、次への学びとして受け止めるかもしれません。
ここで大切なことは、同じ親と子であっても、二人の「あいだ」に何が生まれるかによって、その先の未来が変わっていくということです。

親という存在(Entity)が変わったわけではありません。
子供という存在(Entity)が変わったわけでもありません。
けれど、二人の「あいだ(Relation)」に、恐れが生まれるのか、希望が生まれるのか。
その違いによって、子供が次に踏み出す一歩が変わっていきます。

Relationは、単に誰と誰がつながっているということではありません。

その「あいだ」に何が生まれ、何が形成されていくのか。
そこにこそ、大切な意味があるのだと考えるのが、Relationです。

3 人を変えようとすると、壁が生まれる

人間関係がうまくいかないとき、私たちはつい、相手を変えようとしてしまいます。
「あの人が、もう少し優しくなってくれたら」
「あの人が、考え方を改めてくれたら」
「あの人が、こちらの気持ちを理解してくれたら」
もちろん、そう思うことには、それぞれの理由があるのでしょう。

けれど、ここではっきり申し上げます。
「相手を自分の思い通りに変えることはできません。」

そもそも、人はそれぞれ違う人生を歩んできています。
育った環境も、経験してきたことも、ものの見方も違います。
その違いをなくそうとすれば、どちらかが自分を押し殺すことになりかねません。

では、どうすればよいのでしょうか。

ここで観測点を少し動かしてみます。
「相手をどう変えるか」ではなく、
「両者のあいだから、これから何を生み出せるだろうか」と考えてみるのです。

意見が違うなら、違うままでも協力できることはないだろうか。
互いに苦手なことがあるなら、補い合えることはないだろうか。
過去に行き違いがあったなら、これから同じことを繰り返さないために、どんな工夫ができるだろうか。

このことは国や民族を考える場合も同じです。
意見も違う、歴史認識も違う、教育システムが違う。
そもそも相手国の教育には、自国と対立する歴史認識が含まれることだってあります。
それを知ったうえで、どう結べるかを考え、行動する。

一方だけが我慢し続ける関係が、良いRelationではありません。
ですから、ときには距離を置くことが、お互いの未来を守ることにもなります。

ただ、ここで大切なことは、相手を自分の思い通りにすることではない、ということだと思うのです。
それぞれが自分自身でありながら、その「あいだ」に、より良い未来への可能性を見いだしていくことが大人の姿勢なのです。

4 社会の未来も、Relationから生まれる

これは、個人の人間関係だけのお話ではありません。
会社でも、地域でも、国家でも、同じです。

優れた経営者が一人いれば、会社が発展するとは限りません。
社員が力を発揮できる関係があり、お客様との信頼があり、取引先との協力があってこそ、事業は成り立ちます。

地域社会も同じです。
立派な建物を建てれば、それだけで良い町になるわけではありません。
そこで暮らす人々が、どのように関わり合い、助け合い、次の世代へ何を残していくのか。
その積み重ねが、町の文化となり、町の未来をつくっていきます。

国家も同じです。
優れた指導者が現れれば、それですべてが解決するというものではありません。
政治を担う人々、産業を支える人々、日々の暮らしを営む人々、そして次の時代を生きる子供たち。
それぞれの「あいだ」に、どのような信頼や協力が育っているのか。
さらに国家の置かれた情況がある。
そこにあるRelationにこそ、実は国家の未来を左右する大切な条件があるように思います。

私たちは、ともすると、社会を変えるためには、制度を変えなければならない、指導者を変えなければならない、と考えがちです。
そのことを否定するものではありません。
ただ、制度が変わっても、人と人との「あいだ」に不信や対立しか生まないのなら、それは良い未来につながることはありません。

小さな信頼の積み重ね、協力関係の構築などが育つことで、そこから新しい仕組みや文化を生む。
もちろん、コチラが飲み込まれないように、最大限の注意は必要です。

立場も、能力も、歴史も違う。
けれど、相手を一方的に支配するのでも、相手に従属するのでもない。
互いに主体であることを失わない。
それがRelationにおける対等ということです。

これは、あらゆる場面で、最も大切にしなければならないことです。

5 未来は「あいだ」に芽生える

ここで、一本の木を思い浮かべてみます。
木は、一本で立っています。
けれど、その木が育つためには、太陽の光や雨、土、土の中の微生物や菌類も必要です。

もちろん木は、自分自身の力で育っています。
けれど、木だけで育っているわけではありません。
さまざまなものとの関係の中で、成長しています。

人も、同じです。
自分の人生を生きるのは、自分自身です。
けれど、自分の人生がどのような未来へ向かうのかは、周囲の人々との関係によっても変わっていきます。

誰かの一言で勇気が生まれることだってあります。
誰かとの出会いで、新しい道が開けることだってあります。
誰かと力を合わせたことで、一人では思いもよらなかった成果が生まれることだってあります。
その逆もあります。

だからこそ、どんな「あいだ」をつくるのかが大切になるのです。

未来は、まだ存在していない時間です。
そこに、決まった形があるわけではありません。

今日、誰かにかけた一言。
今日、誰かと交わした約束。
今日、誰かと一緒に考えたこと。

そんな小さな出来事が、明日の行動を変え、やがて未来の景色を変えていきます。

ですから、未来を良くしたいと願うなら、
ただ批判や否定を繰り返すのではなく、
「自分には何ができるだろう」と考え、
未来のために、今日の小さな一歩を踏み出していく。

人の世は、小さなことが大きなことなのです。

そのために、誰と、どんな「あいだ」をつくるのか。
そのRelationが、未来の形を変えていきます。

今日もまた、みなさんにとって、素敵な一日になること願って。

——今日も良い一日を♪

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